田中浩介
堀諭史
Q1.まずは簡単に自己紹介(モンハンライズで担当されているお仕事等)をお願い致します。
A1.田中:サウンドディレクターの田中浩介です。
サウンド全体のコンセプトの立案と監修、スケジュール管理などをしています。
実制作も行っていまして、分かりやすいところでいうと、翔虫の移動SEやタイトルロゴのSEなどを作りました。よろしくお願い致します。
A1.堀:リードコンポーザー(作曲家)の堀諭史です。
モンスターハンターライズではゲーム全体の音楽監修や各モンスターの音楽的なコンセプト(使用楽器や規模感など)の考案と各コンポーザーへのディレクションを担当しております。
よろしくお願い致します。
Q2.モンハンライズにおけるサウンドのイメージや方向性の様なものはあるのでしょうか?
A2.田中:『キャッチーで分かりやすいサウンド』をテーマにしております。
『モンスターハンター:ワールド』や『モンスターハンターワールド:アイスボーン』のサウンドが『繊細な積み重ねの芸術』なら、モンスターハンターライズのサウンドは『入魂の一音で伝えきるサウンド』。そういう方向性ですね。
あとは、『モンスターハンターシリーズへのリスペクト』もテーマの根幹にあって、新しいサウンドもたくさん実装しているのですが、あえてシリーズ懐かしのサウンドを使っていたりもします。
Q3.すでにTGS等で大社跡の実機映像が公開されていますが、ハンターの移動する場所によって、鳥の鳴き声等の環境音がとてもリアルに聞こえますよね?
A3.田中:今作は大社跡などの新ステージをよりリアルに感じて頂けるように、様々な場所でフィールドレコーディングを行いました。野鳥の鳴き声や蝉の音、洞窟のアンビエンスや寺院の鐘の音・・・その他本当にたくさん収録しました。そういった『本物の音』をゲームにたくさん詰め込んでいます。その結果、生態環境のようなものをサウンドで再現することができ、それがリアルに聴こえる要因なのかなと思います。
Q4.PVなどでも使用されているBGMからは様々な楽器の音が聴こえますよね。収録はどのように実施されているのでしょうか?
A4.堀:多種多様な楽器を収録しています。尺八や三味線、篠笛、琴はもちろんのこと、琵琶や篳篥、龍笛、締太鼓や当り鉦、神楽鈴、法螺貝など馴染み深いものから、特別な機会でしか聴くことがあまりない珍しい楽器まで収録をしました。
和楽器に加え、モンスターハンターらしいモンスターの強大さや、雄大な世界観を表現するためにオーケストラ収録も行っています。
オーケストラは使用される場所やモンスターによって日本、LA、ロンドンと様々な国で収録をしています。
強力なモンスターやスケールの大きな曲では主にロンドンのアビーロードにて収録をしています。
また、楽器だけではなく様々なジャンルの歌も収録しています。
Q5.『英雄の証:RISE Ver.』もそうですが、楽曲の中に『歌(声楽?)』が取り入れられていますよね?
A5.堀:英雄の証:RISE Ver.では総勢24人のコーラス隊による歌を取り入れました。
和楽器、歌、オーケストラの要素で構成された今までにあまりない組み合わせの英雄の証となっております。
本作の英雄の証は迫りくる百竜夜行に立ち向かうカムラの里の民たちが、自分たちやプレイヤーを鼓舞し、歌う、里を守るための曲として制作をしました。
曲中に『カムラの里』、『百竜夜行』のメロディーが同時に歌われる箇所があるので是非探してみてください。
Q5.5.専用の曲を持つモンスターのテーマ曲もモンハンライズ向けに作られているのでしょうか?
A5.5.堀:原曲を大幅に変えるのではなく『モンスターハンターシリーズへのリスペクト』を意識し、原曲の良さは残しつつも今作らしいキャッチーさを出した仕上がりになるよう全曲アレンジをしています。
一瀬の「全曲に歌を入れよう」という言葉を受け、今作のモンスターのテーマ曲だけではなく歴代モンスターの曲にも必ず歌や声の成分が入ったアレンジをしています。
Q6.モンハンライズではハンターが喋りますが、何種類ぐらいの選択肢からボイスを選べるのでしょうか?
A6.田中:具体的な数は、実際にプレイして頂いた際のお楽しみとさせて頂きたいのですが、選ぶのに迷ってしまうくらいの種類/内容は用意してあります。
今回は、アクションボイスだけでなく『セリフ』を喋るということで、それぞれのボイスタイプから、ある種の『性格』のようなものを感じ取って頂けると思います。シナリオライターがボイスタイプ毎に設定を考え、セリフを用意してくれたのですが、これが非常に良く出来ています。
『このボイスタイプのハンターは、きっとこんな狩猟ライフを歩んできたんだろうな』と、自然と想像が膨らみます。良い意味で、どのボイスタイプを選ぶべきか本当に迷ってしまうと思います。
Q6.5.ちなみになぜモンハンライズのハンターは喋るようになったのでしょうか?
A6.5.田中:ハンターのボイスをプレイヤー同士のコミュニケーションツールにしたかったんです。
これまで携帯機のモンスターハンターでは、みんなでゲーム機を持ち寄って、実際に声を掛け合いながらプレイしていたと思います。その時の「ワイワイ感」を物理的に集まれない環境の方々にも提供したいと思ったのがキッカケです。ハンターのボイスを借りることでならそれが実現できるのでは?と考えたわけです。
それと、ゲーム内のプレイヤーのボイスを利用することで、ボイスチャット機能やコンパニオンアプリ等に頼る必要がなくなるので、コミュニケーションのハードルを下げる狙いもありました。
Q7.世界中のプレイヤーとオンラインで遊べますが、それぞれのハンターが設定している声同士でのやり取りが出来るのでしょうか?(自分が設定している言語?それぞれのプレイヤーの設定している言語?)
A7.田中:それぞれのプレイヤーがゲーム内で設定している音声言語でプレイできます。
相手のプレイヤーボイスも自分の設定している音声言語でちゃんと聴くことができるので、プレイ中のコミュニケーションもバッチリかと思います。
ゲーム内のハンターのボイスを通じて、積極的に世界中のプレイヤーとコミュニケーションをとって頂きたいです。
しばたより一言:
田中さん、堀さんありがとうございました!モンスターハンターシリーズへのリスペクトを意識しつつも、モンハンライズならではのオリジナリティも追及しているので、聴きごたえ十分なサウンドにご期待頂ければと思います!話題要素となっているハンターが喋る背景には「ワイワイ感」を提供したいという思いがあったんですね。
次回は、ゲーム内のモンスターのアイコンなどビジュアルイラストを描いている井内さんにインタビューします!