MONSTER HUNTER

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モンスターハンターライズ 開発現場リポート モンスターハンターライズ 開発現場リポート
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このコーナーは 『モンスターハンター:ライズ』公式Facebook に投稿されたものをアーカイブとして掲載しています。
  • モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    この企画では、先日発表されたモンハンライズの開発関係者にインタビューを行い、
    担当者ならではの話やこだわりポイントなどを聞いていきたいと思います!

    第1回

    モンスターハンターのシリーズプロデューサー
    辻本プロデューサー
    記念すべき第1回はモンスターハンターのシリーズプロデューサーを務める辻本Pです!
    -ほとんどアイルーが写っていますが・・・よろしくお願いします!(僕の上司でもあります)
    Q1.では早速最初の質問です!本作のテーマ、特徴はなんですか?
    A1.「いつでも、どこでも、誰とでも」楽しめるモンスターハンターをテーマにしており、携帯機でも楽しめるモンハン、という点にもこだわって作っています。
    またフィールドのあらゆる場所を翔蟲を使って翔け上がったり、ガルクに跨り高速に移動する楽しさが今作の特徴の一つです。
    -気軽に電源を入れて楽しめるのが良いですよね。ソファーでゴロゴロしながらプレイすることも出来ますよ!
    Q2.辻本さんは既にライズをたくさんプレイされていると思いますが、どういったところが印象的ですか?
    A2.まずは移動の気持ち良さですね。
    本当にフィールド内の色々な所に行けるので、崖を駆け上がっていくだけでも新鮮で楽しいです。
    また山の上の方からフィールドを見下ろすと、モンスターが動いている様子が見えたり、
    あそこに見える崖までどうやって行こうかなと考えたりするだけでもワクワクしますね!
    -しかも実際そこに行けちゃいますからね!
    そうですね。マップの内側に見えている場所にはほぼ行けるようになっています。
    Q3.翔蟲のアクションが難しそう、と思われる方も結構いるみたいですが?
    A3.新しい要素なので、慣れるには少し時間が必要ですが、いきなりビュンビュン飛ぶ必要は無いですし、
    翔蟲を使わなくても楽しめる様に設計しています。
    -確かにこれまで通りのプレイスタイルでも問題なく遊べますよね。
    今回加わったオトモのガルクに乗ればスタミナを消費せずに高速に移動出来ますし、そのまま蔦を登ってある程度高い所にも行けるので本当に快適に動き回れます。ガルクでの移動の気持ち良さも是非味わってほしいポイントです。
    -モンスターへの攻撃にも翔蟲を活用出来るということですが、こちらも同じ様に使いこなせなくても大丈夫という理解でよろしいですか?
    そうですね。確かに翔蟲を組み合わせるとアクションの幅が広がりますが、これまでの攻略方法にプラスして選択肢が増えるというイメージの方が近いです。
    -全ての武器種に翔蟲を使った技(鉄蟲糸技)もあって色々と試して頂きたいですが、まずは翔蟲受け身の使い方を覚えて使うってのもありですよね。
    そうそう、翔蟲受け身でなんとか生き延びた!ってシーンは良くあるのでお勧めです。
    Q4.先日のTGSでは世界初の実機プレイを生放送で公開となりましたが、ハンターがクエスト中に喋る様子が新鮮でした!
    A4.ハンターのボイスは結構反響ありました。TGSでは日本語で喋っていましたが、英語とモンスターハンターの言語(いわゆるモンハン語)も喋るように設定出来ます。
    また、喋る頻度は段階調整が出来、完全OFFにすることも可能です。
    Q5.最後の質問です!ズバリ次のPVはいつ公開されますか?
    A5.詳しくは言えませんが、今年のうちに新しいPVをお届けしたいと考えています。
    -ファンの方たちは今か今かと待っていますよ!本日はお時間頂きありがとうございました。
    -イーカプの商品達!
    しばたより一言:
    翔蟲にガルク、新しい要素に大注目ですが、使いこなせなくても大丈夫というのは一安心ですね。
    ボイスについてもプレイヤーの好みに応じた設定変更が出来るのは嬉しい方結構いるのではないでしょうか。
    新情報については、もう暫くお待ち下さい!
    次回は、一瀬ディレクターの所にお邪魔します!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二弾は、一瀬ディレクターです!
    学生の頃からのシリーズファンとしては、お話し出来るだけで感動です!よろしくお願いします!

    第2回

    モンスターハンターライズディレクター
    一瀬ディレクター
    Q1.タイトルコール後、たくさんのユーザーからうれしい反響があったかと思いますが、気になったものはありますか?
    A1.うれしいことにガルクへの反応がすごくよかったです。
    日本国内での反応もですが、海外での人気がとても高く注目されています。
    またガルクのエディットもどこまでできるのかといった話もよく聞きました。
    すでに情報公開していますが…
    ガルクは、耳や尻尾の形状と、毛の色を変更することができます。
    自分だけのガルクを作っていただき、アイルーとともに可愛がってください!
    チェックでもエディットしたキャラでプレイしているのですが、愛着が湧いてきますね。
    -先日Twitterでも一瀬さんがエディットしたガルクとアイルーが紹介されてましたよね!
    -僕は黄色のガルクと緑色のアイルーを連れて行っています。おでんが好きなので、薬味の「辛子」と「柚子胡椒」のカラーリングです!
    オトモへの反応も多かったのですが、モンスターへの反応もたくさんいただきました。
    新規のモンスターとして、マガイマガドにアケノシルム、ヨツミワドウ、オサイズチと4体(+α)公開していますが、名前と姿くらいしか情報を出していないのに、それぞれにいろいろな考察がなされていて実に興味深かったです。
    SNSなどでもイラストをたくさん描いてくれていて、本当に開発している側としてはうれしい限りです。ありがとうございます。
    今作、世界観の部分で和やアジアのテイストを取り入れたものにしているのでどういった反応があるのかと思っていましたが、こちらも良い反応をもらっており、開発一同とてもうれしい気持ちです。
    モンハンという軸はそのままに、新しいものにできればといった感じで作っていますので今後の続報にもご期待ください。
    Q2.TGSでは世界初の実機プレイをお届けしましたが、紹介しきれなかった要素はありますか?
    A2.まだ紹介していない部分もたくさんありますので、これから発売に向けて告知していければと思っています。モンスターも過去作登場&新規など公開していないモンスターが当然ながら他にもまだいます。プレイヤーにも翔蟲以外に新規のシステムがあったり…。 ステージも大社跡を公開しましたが、他にもいくつかステージが存在しています。 懐かしいと感じていただけるステージがあるかもしれません
    -これは新情報ですね!プレイヤーの新規システムお楽しみに!
    -ここからはユーザー間で話題になってる要素(しばた調べ)について、お伺いしたいと思います。
    Q3.マルチプレイではハンター1人につきオトモ1匹ということで、ハンター4人とオトモ4匹でクエストに出発する場合は最大8キャラでモンスターに挑むことが出来ますが、全ハンター、全オトモがモンスターの攻撃対象になるのでしょうか?
    A3.全員が攻撃対象になります。
    オトモは狙われますが、若干ハンターよりは狙われにくい傾向にあります。
    Q4.マルチプレイでのクエスト難易度について、参加人数によって変化する仕様になっているのでしょうか?
    A4.参加人数によって変化する仕様になっています。
    過去のタイトルも参考にしつつ本作用に調整を行っています。
    Q5.ターゲットや制限時間なしにフィールドを探索したり出来るのでしょうか?
    A5.通常のクエスト以外にも、
    専用の制限時間なしに遊べるクエストを用意していますので、
    狩猟だけでなく、フィールドの探索や素材集め等も時間を気にせず楽しむことができます。
    -ありがとうございます。まだまだ他の要素についてもお伺いしたい所ですが、今回はこの辺りでインタビュー終了とさせて頂きます!
    -イーカプの商品達!
    しばたより一言:
    ガルクの反響についてのお話しがありましたが、僕も初めてガルクを見た時とても興奮したのを思い出しました。発売初日はキャラクターエディットだけで何時間も楽しめそうですね(笑)。
    新しい要素は今後も順次公開していきますので、続報をお待ち下さい!
    次回は本作のサウンドを手掛ける田中さん、堀さんにインタビューします!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第三弾は、サウンドチームより、
    サウンドディレクターの田中さん、リードコンポーザーの堀さんです!よろしくお願いします!

    第3回

    モンスターハンターライズサウンドディレクター
    田中浩介
    モンスターハンターライズリードコンポーザー
    堀諭史
    田中浩介
    堀諭史
    Q1.まずは簡単に自己紹介(モンハンライズで担当されているお仕事等)をお願い致します。
    A1.田中:サウンドディレクターの田中浩介です。
    サウンド全体のコンセプトの立案と監修、スケジュール管理などをしています。
    実制作も行っていまして、分かりやすいところでいうと、翔虫の移動SEやタイトルロゴのSEなどを作りました。よろしくお願い致します。
    A1.堀:リードコンポーザー(作曲家)の堀諭史です。
    モンスターハンターライズではゲーム全体の音楽監修や各モンスターの音楽的なコンセプト(使用楽器や規模感など)の考案と各コンポーザーへのディレクションを担当しております。
    よろしくお願い致します。
    Q2.モンハンライズにおけるサウンドのイメージや方向性の様なものはあるのでしょうか?
    A2.田中:『キャッチーで分かりやすいサウンド』をテーマにしております。
    『モンスターハンター:ワールド』や『モンスターハンターワールド:アイスボーン』のサウンドが『繊細な積み重ねの芸術』なら、モンスターハンターライズのサウンドは『入魂の一音で伝えきるサウンド』。そういう方向性ですね。
    あとは、『モンスターハンターシリーズへのリスペクト』もテーマの根幹にあって、新しいサウンドもたくさん実装しているのですが、あえてシリーズ懐かしのサウンドを使っていたりもします。
    Q3.すでにTGS等で大社跡の実機映像が公開されていますが、ハンターの移動する場所によって、鳥の鳴き声等の環境音がとてもリアルに聞こえますよね?
    A3.田中:今作は大社跡などの新ステージをよりリアルに感じて頂けるように、様々な場所でフィールドレコーディングを行いました。野鳥の鳴き声や蝉の音、洞窟のアンビエンスや寺院の鐘の音・・・その他本当にたくさん収録しました。そういった『本物の音』をゲームにたくさん詰め込んでいます。その結果、生態環境のようなものをサウンドで再現することができ、それがリアルに聴こえる要因なのかなと思います。
    -画像も併せてご覧いただきたいですが「実際の自然の音」を取り込んでいるんですね!
    Q4.PVなどでも使用されているBGMからは様々な楽器の音が聴こえますよね。収録はどのように実施されているのでしょうか?
    A4.堀:多種多様な楽器を収録しています。尺八や三味線、篠笛、琴はもちろんのこと、琵琶や篳篥、龍笛、締太鼓や当り鉦、神楽鈴、法螺貝など馴染み深いものから、特別な機会でしか聴くことがあまりない珍しい楽器まで収録をしました。
    和楽器に加え、モンスターハンターらしいモンスターの強大さや、雄大な世界観を表現するためにオーケストラ収録も行っています。
    オーケストラは使用される場所やモンスターによって日本、LA、ロンドンと様々な国で収録をしています。
    強力なモンスターやスケールの大きな曲では主にロンドンのアビーロードにて収録をしています。
    また、楽器だけではなく様々なジャンルの歌も収録しています。
    Q5.『英雄の証:RISE Ver.』もそうですが、楽曲の中に『歌(声楽?)』が取り入れられていますよね?
    A5.堀:英雄の証:RISE Ver.では総勢24人のコーラス隊による歌を取り入れました。
    和楽器、歌、オーケストラの要素で構成された今までにあまりない組み合わせの英雄の証となっております。
    本作の英雄の証は迫りくる百竜夜行に立ち向かうカムラの里の民たちが、自分たちやプレイヤーを鼓舞し、歌う、里を守るための曲として制作をしました。
    曲中に『カムラの里』、『百竜夜行』のメロディーが同時に歌われる箇所があるので是非探してみてください。
    Q5.5.専用の曲を持つモンスターのテーマ曲もモンハンライズ向けに作られているのでしょうか?
    A5.5.堀:原曲を大幅に変えるのではなく『モンスターハンターシリーズへのリスペクト』を意識し、原曲の良さは残しつつも今作らしいキャッチーさを出した仕上がりになるよう全曲アレンジをしています。
    一瀬の「全曲に歌を入れよう」という言葉を受け、今作のモンスターのテーマ曲だけではなく歴代モンスターの曲にも必ず歌や声の成分が入ったアレンジをしています。
    Q6.モンハンライズではハンターが喋りますが、何種類ぐらいの選択肢からボイスを選べるのでしょうか?
    A6.田中:具体的な数は、実際にプレイして頂いた際のお楽しみとさせて頂きたいのですが、選ぶのに迷ってしまうくらいの種類/内容は用意してあります。
    今回は、アクションボイスだけでなく『セリフ』を喋るということで、それぞれのボイスタイプから、ある種の『性格』のようなものを感じ取って頂けると思います。シナリオライターがボイスタイプ毎に設定を考え、セリフを用意してくれたのですが、これが非常に良く出来ています。
    『このボイスタイプのハンターは、きっとこんな狩猟ライフを歩んできたんだろうな』と、自然と想像が膨らみます。良い意味で、どのボイスタイプを選ぶべきか本当に迷ってしまうと思います。
    -しかもボイスは日本語、英語、モンスターハンターの世界の言語(通称モンハン語)から選択出来ますからね。本当に迷ってしまいますね!
    -もちろん、これまでのシリーズ作品同様に掛声だけの設定やセリフを喋る頻度も設定可能ですので、好みに応じた設定を楽しんで頂ければと思います!
    Q6.5.ちなみになぜモンハンライズのハンターは喋るようになったのでしょうか?
    A6.5.田中:ハンターのボイスをプレイヤー同士のコミュニケーションツールにしたかったんです。
    これまで携帯機のモンスターハンターでは、みんなでゲーム機を持ち寄って、実際に声を掛け合いながらプレイしていたと思います。その時の「ワイワイ感」を物理的に集まれない環境の方々にも提供したいと思ったのがキッカケです。ハンターのボイスを借りることでならそれが実現できるのでは?と考えたわけです。
    それと、ゲーム内のプレイヤーのボイスを利用することで、ボイスチャット機能やコンパニオンアプリ等に頼る必要がなくなるので、コミュニケーションのハードルを下げる狙いもありました。
    Q7.世界中のプレイヤーとオンラインで遊べますが、それぞれのハンターが設定している声同士でのやり取りが出来るのでしょうか?(自分が設定している言語?それぞれのプレイヤーの設定している言語?)
    A7.田中:それぞれのプレイヤーがゲーム内で設定している音声言語でプレイできます。
    相手のプレイヤーボイスも自分の設定している音声言語でちゃんと聴くことができるので、プレイ中のコミュニケーションもバッチリかと思います。
    ゲーム内のハンターのボイスを通じて、積極的に世界中のプレイヤーとコミュニケーションをとって頂きたいです。
    -世界中のハンターと共にプレイ出来ることに加えて、お互いが理解できる言語で音声が聴こえるのは嬉しいですね!
    -他のプレイヤーのボイスについても、On/Offの設定が出来ます!
    しばたより一言:
    田中さん、堀さんありがとうございました!モンスターハンターシリーズへのリスペクトを意識しつつも、モンハンライズならではのオリジナリティも追及しているので、聴きごたえ十分なサウンドにご期待頂ければと思います!話題要素となっているハンターが喋る背景には「ワイワイ感」を提供したいという思いがあったんですね。
    次回は、ゲーム内のモンスターのアイコンなどビジュアルイラストを描いている井内さんにインタビューします!
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第四弾は、ゲーム内のモンスターのアイコンなど
    ビジュアルイラストを描いている井内さんです!よろしくお願いします!

    第4回

    モンスターハンターライズイラストレーター
    井内
    Q1.まずは簡単に自己紹介(モンハンライズで担当されているお仕事等)をお願い致します。
    A1.墨タッチのイラスト、カムラの里の装飾などを担当しています。
    Q2.モンハンライズにおけるイラストのイメージや方向性の様なものはあるのでしょうか?
    A2.テーマは墨と型染です。

    ・モンスターアイコン
    ギルドマネージャーのゴコクが、モンスターをスケッチしたという設定です。
    筆の勢いがあって柔らかいイメージで作成しました。
    時には襲われそうになったりしながら描いたのではないかと。

    ・カムラの装飾
    型染のイメージで作成しました。
    (厚手の紙を小さな刀で切り抜いて、その型を使って染める手法)
    里自体のイメージも取り入れていて城のような町並み、製鉄、忍び・・とシリーズのなかでも力強いチーフが並んでいるので重く鋭い形にしています。

    -墨と型染、どちらもモンハンライズの世界観を構成する要素として非常に印象的ですよね!
    Q3.ゲーム画面でのイラストの見え方について、こだわりのポイントや、工夫しているところなどはありますか?例えばNintendo Switchは携帯モード、TVモードと様々な大きさの画面でプレイされる事が想定されますが、何か意識していることはありますか?
    A3. 今作のUIは、携帯モードでの視認性も大事にしました。
    チャットスタンプは、モンスターとのやりとりの状況を隠さないように、透明部分を多くして小さめに作られています。
    そのなかでレイアウトにバリエーションを持たせつつなるべく見やすいをモットーに、キャラのサイズや配色に気を付けました。

    一方で里マップは、絵を画面いっぱいに見せられる貴重な枠でしたので、雰囲気重視のイラストにしています。

    -携帯モードで遊ぶ予定の方も多いと聞いておりますので視認性を意識頂いているのはうれしいですね!
    Q4.ちなみにどんなソフトや機材を使ってイラストを描いているのでしょうか。
    A4. Photoshop,ペンタブレットを使っています。
    Q5. TwitterやInstagram等のSNSでは、たくさんのユーザーの方にモンハンライズのイラストを投稿頂いていますが、気になったものはありますか?
    A5. どれか一枚ではないのですがPV発表後のリアクションが印象深かったです。
    翌朝にはもうイラストが投稿されていて犬型のオトモ登場への高まりや、キャラへの萌えポイント・・
    チーム配属時の自分と同じで嬉しかったです。
    反応を巡っているときに、モンスターのつぶやきというのを初めて知って、それにもかなり和んでしまいました。
    しばたより一言:
    井内さん、ありがとうございました。テーマである墨と型染の要素は、ゲーム内はもちろん、公式サイトやSNSの投稿等もご注目頂ければと思います!
    また、モンハン部に本企画のアーカイブページがあるのですが、実はそこのタイトルロゴも井内さんに描いて頂いています! 次回は14武器種のアクションについて、プレイヤー担当企画の森さんにインタビューします!

  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第5回は、14武器種のアクションについて、
    プレイヤー担当企画の森さんにお聞きしたいと思います!よろしくお願いします!

    第5回

    モンスターハンターライズプレイヤー担当企画

    ↑3/9のデジタルライブイベント(生配信)にて実機プレイ直後の森さん。

    Q1.まずは簡単に自己紹介(モンハンライズで担当されているお仕事等)をお願い致します。
    A1.俗にいうプレイヤー担当です。ハンターまわりを制作するメンバーの代表的な感じですね。
    Q2.モンハンライズにおける武器種のアクションについて、イメージや方向性の様なものはあるのでしょうか?
    A2.今作でいうとやはり翔蟲を用いたアクションかと思います。
    開発初期より鉄蟲糸を使ったアクションを追加することは決まっていたのですが、戦闘自体が完全に空中戦になるのは避けたいと思っていました。
    各武器種でアクションや立ち回り、狙いどころなどが大きく変わることがMHの魅力なので、糸が追加された結果、動きが画一化されるのもダメだと思いました。
    そのため、納刀時は「移動に使い利便性を上げる」、抜刀時は「各武器の立ち回りを掘り下げる」要素として「疾翔け」と「鉄蟲糸技」に方向性を持たせました。
    開発途中でフィールドが全て繋がったものになったことにより、移動の重要性が上がったので結果的に分けて良かったと思えます。
    Q3.先日「入れ替え技」システムについて情報が公開されましたが、どのような経緯から実装されることになったのでしょうか?
    A3.遊び方のアプローチが多様になることを入れたかったのです。
    『モンスターハンタークロス』を制作した際にスタイルというものがあり、武器種とは別にアクションが変化し遊び方が変わるというものになっていました。
    今作ではスタイル自体は無いんですが、「同じ武器を扱っていても人によって動き方が変わるようにできないかな?」とやり方を考えた結果、「入れ替え技」としてエッセンスが導入されています。
    なので「入れ替え技」は全体的にクセが強い感じになっています。後半に入手できるものが強いというわけではないので、ターゲットになっているモンスターに合わせたりや、自身のプレイスタイルに合った技をチョイスしてもらえると嬉しいですね。
    Q4.武器種が14種もあり、かつ近接武器や遠距離武器、手数の多い少ないがあったりと、各武器種の特徴は様々ですが、バランス調整はどのようなプロセスで行われるのでしょうか?
    A4. 基本的には話し合いと民主主義で行われています。
    初期制作時はプレイヤー班の武器担当が派生ルートなどを決めつつ、武器やアクションのコンセプトに合わせて数値設定などをしていますが、開発中盤以降はチェックも兼ねてチーム全体でゲームプレイしながら意見を交わしてバランス調整がされていきます。
    今回は企画職内で途中でプレイする武器担当変更とかもやったり、割とワイワイやってたと思います。
    ディレクターから新人まで色んな人が気軽に意見を投げてくるので件数が非常に多くて大変でした。頑張って意見対応をしてくれたプレイヤー担当のみんな、ありがとう!
    Q5.何かハンターに関するもので、ちょっとしたネタというか、紹介しておきたい要素はあったりしますでしょうか?
    A5.いくつかピックして紹介するつもりでしたが、しばたくんから「全武器欲しい」と言われたので全武器分紹介します。

    大剣…飛び込みなぎ払いが溜め反映時は多段攻撃になっています。(落下突きもですが、属性武器用の攻撃を仕込んでいます)
    太刀…居合抜刀気刃斬りは成功時のみ、そこから出せる派生があります(特殊納刀など)。Yボタンでの納刀派生はカウンターの成功失敗に関わらず派生できます。
    片手剣…飛影などのヒット後駆け上がり斬りになりますが、この上昇中に飛影を出すことが可能です。跳んだけど撃墜されそうなときなどにどうぞ。
    双剣…朧翔けは鬼人化時とそうでないときでダメージとヒット数が変化します。
    ハンマー…溜め変化の青⇒黄のモーションは溜めが最大になるだけでなく、開始時に無敵時間があります。
    狩猟笛…振り下ろしと二連スイングは360度の方向修正が可能です。
    ランス…なぎ払いはアクション後も攻撃アクションを続ける限り一定時間、のけぞらなくなります。
    ガンランス…空中でのフルバーストは溜め砲撃に紐づいていて、ZRボタンとAボタンの同時押しで出すことが可能です。
    スラッシュアックス…ビンは種類によって高出力状態へのなりやすさが変わります。体験版では最も溜まりづらい強撃ビンが使用されています。
    チャージアックス…剣モードでの移動斬りは4方向へ出すことができますが、剣を振る際に前方180度へ向きを変えることができます。
    操虫棍…空中突進斬りを当てて上方へ跳ねると空中での攻撃が強化されます。着地せずに連続で行うことで強化は上乗せされます。
    ライトボウガン…旋回跳躍中に発射することで、反動の大きい弾でも気にせず撃つことができます。
    ヘビィボウガン…シールドをつけている場合は近接攻撃の開始時にもガード判定があります。
    弓…体験版での曲射は回復型でしたが、弓によっては他の効果をもつものもあります。
    しばたより一言:
    森さん、ありがとうございました!
    「翔蟲」そして「入れ替え技」が実装されたモンハンライズ、同じ武器種でも人によって様々なプレイスタイルが生まれそうですね。一つの武器種で入れ替え技や立ち回りを変えたり、複数の武器種をモンスターやクエストによって変えて遊んだりと、遊びの幅も本作でさらに広がりました!そして先日の生放送での実機プレイ、お疲れ様でした。
    次回は百竜夜行担当の網干さん、大松さんにインタビューします!
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第六弾は、百竜夜行について、担当企画の網干さん、
    大松さんにお聞きしたいと思います!よろしくお願いします!

    第6回

    モンスターハンターライズ 百竜夜行担当企画
    網干
    モンスターハンターライズ 百竜夜行担当企画
    大松
    網干
    大松
    Q1.ライズで担当されている仕事と百竜夜行における担当内容を教えてください。
    A1.網干:オトモ/クエスト/百竜夜行のリーダーを担当しています。
    百竜夜行制作では、全体的な進行・スケジュール管理。
    あとは、百竜夜行のクエスト側のシステムであったり、難度周りの調整など担当しました。
    A1.大松:モンスターの企画を担当しています。
    百竜夜行制作では、モンスターの制御と調整、狩猟設備の調整など担当しました。
    Q2.百竜夜行は防衛タイプのクエストですが、これまでのシリーズ作品ではおなじみであった超大型モンスターが襲来するクエストとはどのように違うのでしょうか。
    A2.網干:「百竜夜行」・「里を防衛する」というようなキーワード自体は、開発初期からディレクターの方から提示されており、そのキーワードがもつイメージであったりを再現できるようなゲーム性を検討しました。
    「百竜」という文字通り、モンスターが大量に攻めてきて、それを撃退するような場合にはどういった遊びになるか、という部分から検討していったので、超大型モンスターの撃退とは基本的に違う形になったという感じです。
    その上で、狩猟設備などはユーザーが自由に置けたりしないか?自由に置けるならやることは増えてしまうので、弾などを持ってくる部分など削れないかなど、色々な要素を検討していき、今の形となりました。
    Q3.百竜夜行には新たな要素がたくさんありますが、特にどの要素に時間をかけて作ったのでしょうか。
    A3.網干:想定よりは全ての要素において、時間はかかってしまいました。 結果的に、モンスターなども全て個別の思考を用意してもらっています。
    A3.大松:狩猟設備は過去作に比べ、格段にできることが増えているので、その分調整と差別化に時間がかかりました。特に速射砲は高レベルで設置可能になる分、強力で気持ちいい性能になっていますので、是非使って貰いたいです。
    Q4.設置台の下から狩猟設備やカムラの里の仲間達が登場しますが、設置台の下はどういう構造(仕掛け?)になっているのでしょうか。
    A4.網干:ハンターが設備台で設備を選んだ際に、札のようなものが設備台から下へ投入できる仕組みになっています。(ハンターのアクションをじっくり見てもらうと、札のようなものを持っています。)
    その札によって、設備を整備している里守へ必要な狩猟設備が通達され、各狩猟設備が台に乗せられ送られてきます。
    (あまりにも設備が来るのが早いですが、きっと里守達の修練の賜物だと思います。)
    破壊された設備なども自動的に下におくられ、里守達によって修繕され元の場所に戻ってきます。
    Q5.ヌシモンスターのインパクトが強烈ですが、どのような背景から誕生したのでしょうか。
    A5.網干:百竜夜行は、里から受注可能なのですが上位以降の変化する遊びが欲しく、ヌシモンスターが誕生しました。
    A5.大松:通常モンスターとはことなる格上モンスターとして、ヌシが誕生しました。 歯ごたえのあるやりとりができるように調整しています。
    百竜夜行では、エリアの足場ごと破壊したり、狩猟設備のある土台を揺らしたり、 強力な必殺技を使用したりと、かなりアグレッシブになっていると思います。
    設備中心の序盤のやりとりとは打って変わって、武器での攻撃を楽しんでいただければと思います。
    Q6.発売後、プレイされたユーザーの反応はいかがでしょうか。
    A6.網干:いろいろな意見をいただいています。
    マルチでワイワイ楽しんでもらっている部分は嬉しく感じます。
    ソロでやる人には、慣れていないと少し忙しいクエストになるかもですが、報酬は少なくなりますがサブ任務をクリアすることで、クエストをクリア(一部の特殊なクエストを除いて)することも可能です。
    更に細かい攻略にはなるのですが、バリスタと里守バリスタ・竹爆弾を設置できる最大数設置してもらって、厄介な射撃タイプなどを、バリスタの後退弾などで撃墜するようにしてください。
    (落とし物から調合できる「爆破投げクナイ」なども、1発当てれば射撃タイプを撃墜できます。)
    バリスタ弾などは、ボタン押しっぱなしでよいのでターゲットを決めたら、押しっぱなしにしておくと楽です。
    反撃の狼煙が上がるまでは、狩猟設備主体で。反撃の狼煙が上がれば、武器による攻撃を主体にモンスターと戦ってもらえれば有利に進めることができると思います。
    あと、準備時間では里守大砲などを設置したり、固定式竜炎砲台を設置してモンスターが通る通路に向けてセットし直してみて下さい。
    自動型の設備は、とにかく設置数最大まで設置してもらえればと。
    (エリアごとに最大設置数まで設置可能ですので、ヌシモンスターの襲来するクエストなどは、準備時間に2つ目のエリアに自動設備などを置いておけば、モンスターの侵攻を抑えやすいと思います。)
    A6.大松:ヌシモンスターが討伐しやすくなる情報をいくつか紹介します。
    ヌシモンスターの襲来するクエストの序盤は反撃の狼煙がありません。
    反撃のドラや制限型の設備を温存して置けば、クエストを楽に進められます。
    ヌシ以外の大型モンスターの中には撃退時に操竜待機状態になるものもいます。
    また、「里のツワモノ」ウツシ教官は、エリア全体の(ヌシ以外の)モンスターを操竜待機状態にしてくれます。 操竜でヌシを迎え撃つといいかもしれません。
    ヌシモンスターは定期的に砦へ集中攻撃を行います。 その際はハンターを狙わなくなるので、自動型の狩猟設備や武器攻撃がしやすくなります。 「破龍砲」などは、この時に狙うと当てやすいです。
    -しばたより一言
    網干さん、大松さん、ありがとうございました! 新たなクエストモードの百竜夜行、フィールドでの討伐クエストとは違った遊び方が出来るようになっているのが楽しいですね。好みの狩猟設備でモンスターを次々と撃退出来た時がとても爽快です。 開発にあたっての話はもちろん、ちょっとした攻略情報も教えていただけたので是非試したいと思います。 次回はモンハンライズの新要素である翔蟲のデザインや企画について、阿部さん、関口さんにインタビューします!
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第七弾は、今作の新要素「翔蟲」について、
    デザイン担当の阿部さん、モーション担当の関口さんにお聞きしたいと思います!
    よろしくお願いします!

    第7回

    モンスターハンターライズ「翔蟲」デザイン担当
    阿部
    モンスターハンターライズ「翔蟲」モーション担当
    関口
    阿部
    関口(似顔絵ならぬ似顔エディット)
    Q1.翔蟲のデザインにあたり、テーマや方向性などディレクターから何か指定はあったのでしょうか。
    A1.阿部:自分よりも大きなハンターをホバリング飛行して支える=パワーがありそうな印象が欲しい、という話を頂いてたので、モチーフにする虫や飛び道具などをたくさん探しました。
    ホバリングする虫といえばトンボやハチを思い浮かべたのですが、柔らかい印象があったので甲虫で行きましょうか、というのも最初の方で決まりました。
    お題を探していた当初は「手裏剣」などもモチーフに考えていたのですが、翔蟲自体が攻撃するわけではないので…常に身につけている=お守り=勾玉!!というキーワードにたどり着いてから、 色も緑にしよう→緑の特徴的な虫といえば、タマムシ!という風にキーワードを繋げてデザインを作っていきました。
    光る色については、モンスターの攻撃に見えないようにと一瀬さんと話していく中で、敵ではないですよ!というの分かりやすい「青信号」の色になりました。
    Q2.大きさはさておき、翔蟲は実在しそうな見た目をしていますが、現実世界に存在する何らかの虫をベースにデザインされているのでしょうか。
    A2.阿部:ユーザーの皆さんのお察しの通り、日本原産の「ヤマトタマムシ」をモチーフにしています。
    本来のヤマトタマムシには2本の赤いラインが入ってるのですが、ゲーム的なデフォルメを優先して赤いライン一本にしています。

    ▲決定デザインと没デザインの比較

    丸まった時に脚が見えてはシルエットの邪魔になってしまうので、脚の収納は「マンマルコガネ」を。
    お腹をくるりと曲げる様子はクワガタなどの「サナギ」の印象をモチーフにしてます。
    Q3.なぜ道具ではなく生き物、なかでも蟲を使って疾翔けや鉄蟲糸技などのアクションを実現することになったのでしょうか。
    A3.関口:アクション部分のコアのシステムとして、大きく遊びに割って入るようなものを考えていたときに ワイヤー(3D空間)を使った遊びを考えようという話になりました。

    ただ通常のワイヤーアクションだとワイヤーをひっかける先が必要になりアクションに制限がでてしまうため、いろんなところで使うことのできるアクションを考えたときに生き物を使うことでその制限をカバーできるといった発想になりモンスターハンターの世界観にもマッチしたため、翔蟲という生き物が生まれることとなりました。
    Q4.翔蟲の動きを作るにあたり、参考にした虫や生物等がいましたら教えて頂けますか。
    A4.関口:動きのベースになっているのはハチやトンボなどのホバリング飛行をする虫です。
    またハンターが翔蟲を使って飛んだり跳ねたりのアクションをするため、ハンターを引っ張るあるいは支えるだけの力が必要になるだろうという事で、力強さを表現するためにクマバチなどの身体が大きめの虫なども参考にしつつ、翔蟲らしい動きになるようにしました。
    Q5.翔蟲を使ったハンターの動き(疾翔け、鉄蟲糸技、操竜)について、テーマやモチーフなどはあったのでしょうか。
    A5.関口:疾翔けの場合、設定や仕様を元に企画の担当者とも相談しながら制作していましたが、かなり現実離れした動きになりそうだったため実はあまり参考に出来たものは無いのですが、強いていうならパルクール的なアクションなど軽快な動きになるように意識していました。
    鉄蟲糸技については、それぞれの武器の特徴やアクションの個性が強調されるようにイメージしています。それぞれの武器にテーマがありますが、ライズでユーザーの方からの反響の多かった狩猟笛でいうと「音」も攻撃として使う武器なので、例えば「震打」という技では、まず最初の一撃で「鐘をゴーンと突くようなアクション」をした後に追撃に「ギターをジャーンと鳴らすようなアクション」をする、という具合で「音」から連想されるような狩猟笛の個性を強調させるようなイメージを元に作りました。
    また操竜については、ハンターの身体よりも何倍も大きいモンスターを動かすので全身を使って制御するようなイメージで作っています。実は操竜中にもモンスターの行動に応じてプレイヤーもアクションをしています。
    Q6.制作にあたりこだわった点について教えてください。
    A6.阿部:タマムシって本来はもっと平べったい虫なのですが、ゲーム中って横から見る事が多いので、平らな形状になるのは避けてもらいました。縦横どちらかが薄いと、弱そうに見えちゃいますしね。
    とはいえタマムシの印象は完全に無くしたくなかったので、オトモ広場で本来の姿で休憩している所も作っていただいたので、ぜひゲーム中で見てみてください!

    開発当初から「マガタマムシ」という仮名称をつけてかわいがっていたのですが、 最終的には「疾翔け」などゲーム中のアクションと連携した名前を優先して「翔蟲」という名前になりました。が!「勾玉」をモチーフにしていた設定の名残は、大翔蟲を置くための「勾玉草」や翔蟲のアイコン、ミノトさんのイラストなどにその特徴を残していただきました。

    ▲当初一瀬さんと盛り上がっていた時のメモ

    関口:翔蟲を使ったアクションはどれも「翔蟲を使っている」という事が可能な限り理解してもらえるように作っていました。基本的には放り投げた翔蟲に自分を引っ張ってもらうというアクションのものが多いですが、翔蟲の出す特殊な糸を自分に巻き付けたり、地面に糸を張って体を固定してみたり…と色々と翔蟲の設定をもとにイメージを膨らませながら作っていました。
    Q7.SNSなどユーザーの反応はいかがでしょうか。
    A6.阿部:虫は昨今嫌悪されがちな対象ですが、脚を収納してみたり、目を大きくしてかわいくしたり、きれいな色にしていただいたり…とチーム内でも色んな意見やお力添えを頂いてデザインした分、 想像以上に多くの方にかわいがって頂き、まさかファンアートまで描かれるとは思わず…とても嬉しいです。これからも翔蟲と一緒にライズの世界を翔けて行ってください!
    A6.関口:今回翔蟲を使ったアクションによって、従来のシリーズと比べると全体的にゲームのスピード感がアップしていて、壁を走り空中で回避出来たり…とハンターがいよいよ人間離れしてきた感じがあるのでそういったところがモンスターハンターのアクションとして受け入れてもらえるのかどうか発売前はすごくドキドキしていましたが、思っていた以上に皆さんに楽しく遊んで頂けているのかなと感じています。ありがとうございます!
    -しばたより一言
    阿部さん、関口さん、ありがとうございました!
    「タマムシ」がデザインのベースにありつつ、様々な虫の形状や動きを組み合わせて作られていたんですね。「疾翔け」「鉄蟲糸技」「操竜」といったライズで加わった新たなアクションに欠かせない存在ですので、これを読んでる皆さんも様々な形で目にされているかと思いますので、改めてじっくり観察してみるのも面白いかも知れませんね。個人的には疾翔けからの空中停止のアクションが好きでよくやっています。 次回は今作のメインモンスター「マガイマガド」について担当企画の宇野さん、デザイナーの谷川さん にインタビューします!

    ちなみに、今回お話を伺った阿部さんがデザインに関する講演をされた際の映像もありますので、ご興味ある方はこちらもご覧下さい。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第八弾は、本作のメインモンスター「マガイマガド」について、担当企画の宇野さん、デザイナーの谷川さんにお聞きしたいと思います!よろしくお願いします!

    第8回

    モンスターハンターライズ
    メインモンスター「マガイマガド」担当企画
    宇野
    モンスターハンターライズ
    メインモンスター「マガイマガド」デザイナー
    谷川
    宇野
    谷川さん作のヨツミワドウのイラスト
    Q1.本作のメインモンスターであるマガイマガドですが、どのようなモンスターにすることをテーマにしていたのでしょうか。
    A1.宇野:モチーフとしては一瀬ディレクターから「鎧武者の亡霊」「武者×タイガー」などの原案をもらっており、人魂を連れた亡霊武者で虎モチーフというところからのスタートでした。
    人魂をゲームに落とし込んだ時にビジュアル的には火属性か爆破属性かとなり、爆破属性寄りでスタートしつつ、個人的にプレイヤーにリスクもリターンもあるヤラレを作りたかったので、固有の鬼火ヤラレ属性に分岐していきました。 アクションデザインとしては、折角のメインモンスターなので王道の戦闘感を持ちつつ、入れられる限りのノウハウを詰め込みたいと思い、固有の特徴である鬼火要素、横歩きによる動作の緩急とともに、個人的に過去に作成してきたモンスターたちの良かった要素や作り切れなかった要素の改良を入れ込んで、メイン級のボリュームや過去のメイン級モンスターを連想させるような王道感を持ちつつ、一体のモンスターとして成立させることを目指しました。
    Q2.マガイマガドは他のモンスターを喰らう事で鬼火を纏うという記述が公式サイトにありますが、どのような仕組みで鬼火が発生し、さらにはマガイマガド自身への強化につながっているのでしょうか。
    A2.宇野:マガイマガドは、捕食したものを骨まで残さず平らげるくらいかなりの大食らいで、その結果現実世界で言う生体ガスのようなものを多分に取り込み、体内で圧縮、気孔などから噴出、爆発させることで鬼火を起こしています。
    この爆発はガスであることを活かして尻尾から巻き上げ巨大な爆発を作り上げたり、攻撃だけでなく空中での制動にまで用いることで、マガイマガドの行動の強化につながっています。
    Q3.マガイマガドのデザインについて、テーマや方向性などディレクターからどのようなリクエストがあったのでしょうか。
    A3.谷川:最初に、「鎧兜に身を包んだ亡霊武者×虎」という要素を組み込んだ牙竜種であるとディレクターからのオーダーがありました。
    合わせてアクション面で「槍使い」であることが決まっていて、そこから宇野さんが味付けをし、それらの要素を組み込んでデザインを進行していきました。
    また、虎の要素として、古い猛虎図を参考にしたりしています。色に関しては、正統派に虎の体色をイメージしたものを提示したりしましたが、和風を感じつつ妖怪の禍々しさを出していきたいという要望があり、ダークな方向性に決定していきました。
    Q4.マガイマガドのフォルムは怨“虎”竜の名の通り、虎をモチーフとしているかと思いますが、表皮は竜・爬虫類といった質感で毛が生えていないように見えます。
    同様に哺乳類の要素を持つジンオウガやナルガクルガ等には毛が生えていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
    A4.谷川:数ある獣系モンスターでは毛の要素が含まれていますが、ブンブジナやオドガロン然り絶対に含まれなければならないというデザイン的な制約はありません。生態的に毛が必要か必要ではないかは、モンスターによって変わってきます。例えば、タマミツネは毛がブラシ状になっていて、分泌液を効率よく泡立てる為に使う等です。
    マガイマガドに関しては、爆破性の鬼火を頻繁に扱うので、その爆破の衝撃に耐えうる甲殻が発達しています。毛で何かをするわけでもなく、身を守るという意味では甲殻で賄っており、必要のない要素なので現状の見た目になっています。
    Q5.マガイマガドは尻尾の形が特徴的ですが、なぜあの様な形状になっているのか、またそれを攻撃などの行動にどう活かしているのでしょうか。
    A5.宇野:尻尾のデザインは原案のころから十字槍であったと記憶しています。
    谷川:原案から十文字槍のような見た目ですが、それにしてくれという絶対的な条件はなかったと思います。
    槍は世界的にも幅広く使われている武器だったので、和風の要素を槍だけで表現するには印象が弱かったので、歴史上に名を残した武将の愛槍をモチーフに取り込んで、今のデザインになっています。
    宇野:そう言えば企画的にも序盤から終盤への形態変化感を出して盛り上げたいって話で顔、腕と一緒に展開ギミックにしてもらいましたね。
    谷川:そうですね。隠された体中の武器が露出していくイメージにしつつ、余剰なミネラル(鬼火)を大放出する意味で展開ギミックに落とし込んでいました。
    谷川:身体中の武器を携えている点では、企画草案中の弁慶ネタが引き継がれてますね。
    当初は、スリットが開いてトラ縞になりつつガスを放出するネタも考えていました。
    ガス放出時だけトラ縞が出るとなると虎感が少ないので、今のデザインにシフトしていきました。
    宇野:尻尾を武器のように使うモンスターは、ディノバルドなどもいますが、マガイマガドは蛇腹的な構造で虎っぽいしなやかに動く尻尾だったので、モーションのイメージとして“棒術”のような、華麗に振り回す棒捌き、槍捌きといったイメージを入れてもらっています。例えばシンプルな突く動作やそれを戻す動きでも、過去に別のモンスターが行っていたそれとは違った印象にしてもらえたかなと思います。
    -しばたより一言
    宇野さん、谷川さん、ありがとうございました!
    テーマである「鎧兜を纏った亡霊武者×虎」に鬼火や形態変化といった様々なアイデアが組み合わさることで、強烈なインパクトを放つメインモンスターになった訳ですね。無骨なカッコよさはもちろんですが、遠い場所から観察してみるとたまに可愛い仕草なども見せてくれるところも個人的には好きだったりします。
    次回はそんなマガイマガドの素材から作られる武器・防具についてデザイナーの嶋津さん、Shiratakiさんにインタビューします!
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第9回は、前回のテーマであった「マガイマガド」の素材から生産される武器・防具について、デザイナーの嶋津さん・Shiratakiさんにお聞きしたいと思います!よろしくお願いします!

    第9回

    モンスターハンターライズ
    武器デザイン担当
    嶋津さん
    モンスターハンターライズ
    防具デザイン担当
    Shiratakiさん
    嶋津さんデザインのカムラ武器集合イラスト
    イズチ装備を纏ったShiratakiさんイラスト
    Q1.全武器種に組紐をあしらっているデザインが興味深いですが、何かモチーフやテーマがあるのでしょうか。
    A1.嶋津:マガイマガドの素材には強大な呪いのような力が宿っているイメージから強すぎるその力を抑制する(封じている)という意味合いで複雑に組み合った紐を構成しています。
    紐の組み方は、日本古来の和楽器や御神輿などを参考にしました。
    Q2.マガイマガドのどのあたりの部位(爪や角など)で構成されているのでしょうか?
    A2.嶋津:腕部分の大きなブレード状の甲殻や牙、鬼火纏い状態時の背中から出現する甲殻をほとんどの武器種に使用しています。ランスに関しては尻尾をメインで使用しています。
    刀身部分の素材に関しては、刃こぼれをしているような独特な形状が特徴なのですがそれにより切れ味が悪いというよりも、たとえ途中で折れたとしても鋭利さを保つことができるイメージでシルエットを作成しています。

    また、一部にはなりますが、武器のデザインについて、最も初期のデザイン案から完成デザインへの変遷をご紹介させて頂きます。

    ↑最も初期のラフ画です。小さい武器の集合体のようなアイデアでした。

    ↑2番目に描いたものです。黒い武器、呪われている、刃こぼれなどのキーワードを元に複数の武器種を描き出しています。

    ↑2番目のものから金色の大剣をピックアップして複数の形状やモチーフ、カラーパターンを模索しています

    ↑黄金の刀身に骸骨文様が入っている案で進めることになりました
    紫の紐を複雑に組み合わせる案もこのあたりで固まりつつあります

    ↑各武器の最終デザインアートです
    黄金の刀身に入る文様は髑髏から渦巻いた炎へ変更
    モンスターのどの部位を使用するか
    日本刀や長巻など和モチーフのものを選別しています(以下参照)

    大剣   :両腕の2本のブレードをあわせて1本の両刃剣に
    ランス  :尻尾の形状を活かした3又槍に
    片手剣  :小太刀
    太刀   :長巻
    ハンマー :鬼瓦+馬鞍
    狩猟笛  :琵琶+軍配
    Q3.甲冑の要素を取り入れた防具はこれまでのシリーズ作品でもいくつか存在していますが、防具「禍鎧シリーズ」のデザインにはどのような特徴を持たせているのでしょうか。
    A3.Shirataki:『モンスターハンターライズ』のメインモンスターの素材から作る防具であり、和テイストの本作を飾る装備、といった点から和甲冑ということは外せませんでした。

    また、モンスターのシンボルである 「角」「大袖を思わせる肩」はシルエットから分かるよう大きく取り入れました。
    ただそれだけだと、普通の和甲冑になってしまうため、 モンスターデザイナーの作成された マガイマガドが骨を喰らう、モンスターイメージ画から 「亡霊武者・半妖甲冑」をコンセプトにしてデザインを施しました。

    赤い胸の上に、黄色のあばら骨を思わせる意匠を配置したのは そういった要素を強める為に、デザイナー間で吟味し配置したものになってます。

    他にも、宝珠紋を模した意匠を各パーツにそれぞれ配置しているのですが、 裏設定では、全てが揃うと人に成る…願望成就の宝珠として成立するなど…色々考えてました。
    Q4.タイプ1,タイプ2のデザインでそれぞれどのような違いを持たせているのでしょうか。
    A4. Shirataki:タイプ1,2と、どちらも重厚な和甲冑を支えられるようシルエットは気をつけました。
    デザイン途中では、質感の差を出したく 軽装の和甲冑も考えてはみたのですが マガイマガド自身の重厚感を担保した装備としては、チープな印象になってしまった為 軽装案は止め、タイプ1,2と大きな差は出していません。
    タイプ1,2の差としては、
    ■タイプ1
    フルフェイスで、大きな角兜を持ち 肩の大袖を支えることができる上半身のしっかりとした和甲冑に。
    胸板がしっかりとあるのであばら骨の表現は前面/背面に分かりやすく入れ込んでいます。
    ジンオウガ防具とは違った、パワー系のシルエットになるよう筋肉を強調させています。

    ■タイプ2
    顔を見せつつ 顔周りの毛を、闘いに暮れ整えられていない荒々しい印象に。
    骨格的に 胸周りにあばら骨が置きにくいので、肋骨の流れに沿ってあばら骨の表現を入れています。
    また、全体のバランスを見つつ、シャープな釣り鐘型のシルエットを担保させるため、陣羽織のように腰布を纏わせています。
    Q5.マガイマガドには鬼火を纏うという要素がありますが、武器・防具それぞれのデザインにおいてどのように取り入れているのでしょうか。
    A5.嶋津:主に刀身に用いられている黄金の素材には、鬼火纏いの焼け跡が文様のように残っています。また全武器種ではないのですが力を開放するときに、文様が紫へと変色するギミックを仕込んでありますので、是非色々な武器種を担いで狩りへ行ってみてほしいです。

    Shirataki:防具では、鬼火をそのまま纏うのは制限的に難しかったので、 各所にある紫色の紐や、和甲冑でも特徴的な素懸威(すがけおどし)の意匠として要素を落とし込んでいます。
    頭頂部にある長い紐飾りは、風に靡いたときに炎の軌跡のようになるといいなと、配置しています。
    また、『モンスターハンターライズ』のamiiboを使うと入手できる禍鎧封具シリーズは、「封印された防具」というコンセプトで、 各所にある破れた帯が、マガイマガドの鬼火で封印を破った表現として採用されています。
    -しばたより一言
    嶋津さん、Shiratakiさん、ありがとうございました!
    マガイマガドの素材から作られる武器・防具というだけあって、マガイマガドの特徴でもある禍々しさ、厳めしさを存分に感じるデザインですね。身に纏うだけでも強くなれる気がします!
    次回は本作を世界中の方に楽しんでもらうには欠かせないローカライズについて、ローカライズディレクターのティムさんにお話し伺います!
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第十弾は、本作を世界中の方に楽しんでもらうには欠かせないローカライズについて、ローカライズディレクターのティムさんにお話しを伺いしたいと思います!よろしくお願いします!

    第10回

    モンスターハンターライズ ローカライズディレクター
    ティムさん

    ティムさん

    Q1.まずはじめに、ローカライズとは何か、翻訳とはどう違うのかを簡単にご説明頂けますでしょうか。
    A1.ローカライズというのはゲームの内容を海外市場向けに備える仕事です。翻訳はその一部の作業にはなりますが、全てではありません。フォントやUIの調整を依頼したり、英語ボイス監修のため収録に立ち会ったり、海外で問題視される内容がないか、そもそも日本語の表現の意味が通じるかどうかなどを確認したりする必要もありますので、色んな角度からゲームの内容を分析する作業が関わってきます。 翻訳自体に関してもただ直訳するのではなく、それぞれの目標言語にて自然な文章を作ってユーザーに違和感や不快感を与えない意訳を行うのがポイントです。
    Q2.モンハンライズは和風やアジアテイストな世界観が魅力の一つですが、ローカライズにあたりそれらの要素をどのように残したり、伝わる様に工夫をしているのでしょうか。
    A2.こういう要素にはいつも悩まされていますが、今回のタイトルは明らかに舞台が和風なので、逆に無理矢理にローカライズせずに、そのアジアンテイストをそのまま守りたいというのが基本的なスタンスでした。従って、本タイトルでNPCに名前が付いているのはシリーズ初だと思いますが、登場人物の名前のほとんどをローカライズせずにそのまま音訳しました。明らかに和風の舞台なので、「フゲン」を「ジャック」に変えても違和感しかないですよねw
    とはいえ、一部発音しやすくするために微調整を入れているものもあります。たとえば「ヒノエ」は「Hinoe」というスペルにしたら英語的に「ヒノー」という読み方になりかねませんので、「Hinoa」にしました。
    Q3.本作から登場したモンスターの名前は日本語をベースに考えられたものが多い印象ですが、ローカライズする際モンスターの名前はどのように決定しているのでしょうか。
    A3.モンスター名のローカライズを依頼された時は、命名法についていくつかの選択肢がありましたが、優先順位は付けられていました。一番理想的なのは「日本語名称の音に近く、意味も近い」という選択肢でしたが、これはなかなか難しいです。それができなければ「和風寄り」の名称が望ましかったのですが、それもオススメできない場合は日本語と同じような意味になる英語オリジナル名称でいくしかなかったのです。最終的には「日本語名称の音に近く、意味も近い」ものもありますが、「音訳のみ」のものや「意訳のみ」という完全に違うものもあり、色んなパターンの組み合わせになっています。
    いくつか例を挙げると
    ① 日本語名称の音に近く、意味も近い:「禍」や「怒」の要素が含まれている「マガイマガド」は英語で「Magnamalo」になっていますが、ラテン系の言語で「大災」のような意味になっています。
    ② 音訳:イズチはそのまま「Izuchi」になっています。
    ③ 意訳のみ:「ヨツミワドウ」は近い音でカッコいい名前が思い付かなかったので、「Tetranadon」という名称にしました。日本語と同じく、「四つ」を意味するギリシア語の「Tetra」(『テトリス』でご存知の方もいるかと思います)やスペイン語で「蛙」を意味する「Rana」を合わせています。
    過去作でも同じようなアプローチでしたので、毎回「日本語に近い名称」と「英語オリジナル名称」の組み合わせになっていてバラエティに富んでいます。
    ちなみにマガイマガドをモンハンライズに実装されている言語で表示すると下記の様になっています。
    日本 英・仏・伊・独・西 ロシア語 繫体字
    マガイマガド Magnamalo Магнамало 怨虎龍
    簡体字 韓国語 アラビア語
    怨虎龙 마가이마가도 ماجنامالو
    Q4.本作のファンたちは世界中にいますが、地域や国を問わず人気な要素、また逆に特定の地域や国で特に人気となっている要素がありましたら紹介頂けますか。
    A4. だいたい地域や国に関係なく、どこでも同じキャラが人気になる場合が多いですが、海外ではやはりヒノエとミノトが一番人気じゃないでしょうかね?可愛い双子だし、性格的にも親しみやすいと思います。それからロンディーネも結構人気があるようで、全体的に女性キャラのウケが良いみたいです。
    Q5.本作のローカライズにあたり、特にこだわった点や工夫した点がありましたら教えて下さい。
    A5.ちょっとNPCの名前の話に戻りますが、集会所に太鼓を叩いている「ドン」と「ドコ」という2匹のアイルーがいますが、日本語の名前が言葉遊びになっていますので、この二人だけは音訳せずに、英語でも面白い言葉遊びにしようと思って「Badum」と「Tish」というドラムを叩いた時に鳴る音をそのままネイミングにしました。個人的に結構気に入っています。
    因みに本タイトルで一番悩まされたのはモンスター登場デモのローカライズでした。日本語ではすごい派手でカッコいい琵琶法師の演奏になっていますが、これはリズムに合わせて英語音声を当てるのがとっても無理でした。英語でも「日本語音声のみにして字幕だけ付ける」という形で良いのかなとも思いましたが、「英語音声を入れたい」というオーダーがプロデューサーからありましたので、無理矢理に日本語のリズムに合わせずに、英語では韻を踏むポエム的な感じにしました。日本語の演出よりだいぶ落ち着いた感じになりますので、サウンドさんにBGMの曲調も調整していただいて日本語とまた一味違う、面白い出来になっていると思います。かなり苦労しましたので、是非比較してみてください!
    -しばたより一言
    ティムさん、ありがとうございました!
    ベースとなる日本語や世界観を守るために様々な工夫がされていることで、世界中の国・地域の方に本作を楽しんで頂けているのですね。最後の回答で触れて頂いたモンスター登場デモの英語版は、ゲーム起動後のスタート画面からオプションで「ボイス言語:英語」に設定した後にギャラリーで観て頂くと確認出来ますので、一味違った映像を是非ご確認下さい。
    次回はモンハンライズのタイトル発表から現在のカプコンコラボまで、すべてのPVを手掛ける映像ディレクターの天野さんにお話を伺います。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第十一弾は、本作のタイトル発表から最新のカプコンコラボまで、すべてのPV(プロモーション映像)を手掛ける映像ディレクターの天野さんにお話を伺いしたいと思います!よろしくお願いします!

    第11回

    モンスターハンターライズ 映像ディレクター
    天野さん

    映像ディレクションのお仕事している(?)時の天野さん
    ※実際はゲーム画面をカメラ越しには撮りません

    Q1.まずは簡単にモンハンライズで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1.プロモーション映像の企画・制作・撮影の演出や編集を担当させて頂いています。
    実際には全部を一人で作業しているわけではなく、それぞれのパートごとに専門の担当がいたりするので協力してもらいながら10名くらいのチームと一緒に制作している感じです。
    Q2.昨年9月のタイトル発表映像以降、複数の映像を公開していますが、それぞれの映像に含める要素はどのように決めているのでしょうか。
    A2.最初に「このモンスターは何月に公開」、などの情報が割り振られた「ロードマップ」がプロデューサーから下りてきます。そのロードマップに沿って詳細なゲーム要素を映像に落とし込む準備(コンテ作成)を進めていきます。
    例えば「このモンスターの攻撃で最も象徴的なものは?」や、「ガルクの一番かわいいジェスチャーはどれだろう?」など「面白そう!プレイしてみたい!」と思ってもらえる見え方を検証して進めていきます。


    Adobe Premiereというソフトで編集をしています。
    Q3.一本のプロモーション映像を制作するのにどれぐらいの期間が必要なのでしょうか。
    A3.2-3か月くらいで制作しています。
    プリプロダクション(2週間):企画やスケジュール調整、コンテ制作など制作準備の期間。

    撮影と仮編集(1か月): ゲーム画面の撮影と編集を何度も繰り返して、魅力的に見える映像をくみ上げていきます。プロデューサー.ディレクター、ゲームの各担当者にチェックしてもらい、様々な意見をくみ上げながら形にしていきます。編集していくうちに最初のコンテとは構成や見せ方が変わっていくこともしばしばあります。

    ポストプロダクション(2週間):映像効果やテロップ、BGM/音声作業など映像の仕上げに関わる作業です。ここで最終的なクオリティアップをします。特にBGMとSE(効果音)が入った後は、完成度が一気にあがって感動します。PVは音楽とSEが命!です。


    PV制作の最終段階、「音声ミックス」の現場です。 いつもサウンドチームが最高の仕上げをしてくれます。
    Q4.本作の映像を制作する上で気を付けていたり、大事にしていることは何でしょうか。
    A4. モンハンライズのキャッチコピーである「いつでもどこでも誰とでも」が伝わるよう、軽快なアクション感とマルチプレイの楽しさがゲームシーンで表現できればと工夫しました。
    翔蟲やガルクでのマルチプレイのシーンは実際に4人のプレイヤーが、「せーの!」でタイミングを合わせてプレイしたものを撮影していますが、満足できる1カットを撮るのに半日使ったりすることもあります。バシッと息のあったプレイが撮影できた時は気持ちがいいですね。

    『モンスターハンターライズ』狩猟解禁映像 の1カット(00:25~)
    翔蟲の糸やハンターのアクション、フィールドの景色など、美しく撮影できたお気に入りのカットです!
    Q5.モンハンライズの映像制作の中で、新たな試みやチャレンジした事などはありますか。
    A5.時勢もあり、オンライン番組やSNS上での情報発信の機会がとても多くなったタイトルでした。
    PVだけでなくSNS発信用の映像や情報番組を含めるとMHシリーズで最多の映像数を更新しています。
    ゲームが本当に細部まで作りこまれているので、これだけ映像を作っていてもまだまだネタが尽きないところがモンハンライズの凄いところです。
    Q6.映像を公開するとたくさんのユーザーの方からうれしい反応がありますが、気になったものはありますか。
    A5.毎回皆様に喜んでいただけるので、作り手としてはとてもうれしいと思っています。
    最近は、公開されたプロモ―ション映像をユーザーが自分で編集してオリジナルの作品としてアップしたり、検証/予想動画を作ってくれたりするのを見るのが好きですね。
    編集や説明も上手で、「こんな切り口があるのか」と感心するようなクオリティの物も。
    一緒に宣伝していただいている仲間のような気持ちで見ています笑。
    -しばたより一言
    天野さん、ありがとうございました!
    天野さんの回答にもありましたが、プロモーション映像以外にもオンラインの番組やTwitterで公開した映像見聞録など、本当に多くの映像をユーザーの皆さんにお届けさせて頂きました。たくさんの方からのコメントや反応をスタッフ一同いつも楽しみにさせて頂いております。
    次回はモンハンライズがどのような技術で作られ、そして動いているのか、本作のメインプログラマである澤田さんにお伺いします。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第十二弾は、モンハンライズがどのような技術で作られ、そして動いているのか、本作のメインプログラマである澤田さんにお話しを伺いしたいと思います!よろしくお願いします!

    第12回

    モンスターハンターライズ メインプログラマ
    澤田さん
    Q1.まずは簡単にモンハンライズで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1. プログラマのリーダーを担当しました。プログラマの相談窓口的な立ち位置です。
    Q2.プログラマとして、本作の売りとなるポイントはどのようなところでしょうか。
    A2.Nintendo Switchの売りでもあるのですが、どこでも持ち運んで遊べるところだと思います。進化したモンハンがどこでも手軽に遊べることは大きな売りだと考えています。
    Q3.ゲームプログラマが担う役割は多岐に及ぶと思いますが、プログラマのリーダーとして何か方針や軸となる指針の様なものはあったのでしょうか。
    A3.プログラマの担う担当は幅広いので、全体のバランスは考えるようにしていました。何か新しいことを実装する前には大体プログラマのところに相談が来るのですが、それが出来るか否かだけではなく、それにはどれくらいコストがかかるかとか、メリットやデメリットも伝え、全体のバランスを考えながら話を進めるようにはしていました。
    Q4.本作において特にこだわった、もしくは意図せずして時間をかけることになったのはどのようなところでしょうか。
    A4.Nintendo Switchへの最適化はいろんな人が多岐にわたって時間をかけたと思います。モンスターハンターの新作としては初めてNintendo Switch上で動作するタイトルでしたので、どれくらいのパフォーマンスが出せるかが分からない状態からのスタートでした。一方で「これくらいの数のモンスターは出したい」「これくらいのフィールドの広さは欲しい」等、求められる物が先行していたので、CPUやGPU負荷、メモリやロード時間等々の最適化には多くの時間をかけています。
    Q5.モンハンライズの制作の中で、新たな試みやチャレンジした事などはありますか。
    A5.モンスターハンターシリーズで初めてRE ENGINEを採用したことが一番大きかったと思います。新タイトルでも過去の資産を利用する機会はゲーム作りにおいてはよくある話ですが、開発エンジンがMT FRAMEWORKからRE ENGINEに変わったことで、プログラマは過去のソースコードをそのまま利用する事ができなくなりました。その上で過去の資産を生かしつつ新たにコーディングするために自動化や効率化に多く取り組んでいました。
    Q6.本作を遊んで頂いたたくさんのユーザーの方からうれしい反応がありますが、気になったものはありますか。
    A6.やはりNintendo Switchへの最適化は一番力を注いだところですので、ゲームの快適さや安定性について、多くの評価を頂けているのことが非常にうれしいです。プログラマ全員が何かしらの取り組みで携わっているので、私を含め全プログラマにとってうれしい反応です。
    Q7.約4年間の開発の中で裏話のようなものがありましたら教えて頂けますか。
    A7.本作の里内移動はかなり快適なものになっていると思いますが、当初は今までのシリーズ同様、里内移動時には長いロード時間がありました。そんなある日、「フィールドのシームレス化の技術を応用したら里内の移動も快適になるのでは?」というアイデアが上がり、それを実装したところ今のように快適な移動を実現することが出来ました。さらにその技術の応用は、オンライン時は集会所のみ移動可能という縛りも無くすことが出来ました。
    しばたより一言:
    澤田さん、ありがとうございました!
    本作のコンセプトでもある「いつでも、どこでも、誰とでも、気軽に遊べるモンスターハンター」が出来上がる背景にはプログラマ全員が本作の快適さ、安定性を実現するため様々な形での取り組みがあったんですね。快適な里内移動や集会所以外の場所でもマルチプレイで繋がれる等、シームレス化の技術の応用によって実現された要素たちも本作の魅力や特徴になっていますね。 次回は本作のフィールドデザインについて、背景リーダーの寺井さんにお伺いします。
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。 モンハンライズのインタビュー企画第十三弾は、モンハンライズのフィールドデザインについて、本作の背景リーダーである寺井さんにお話しを伺いしたいと思います!よろしくお願いします!

    第13回

    モンスターハンターライズ 背景リーダー
    寺井さん

    寺井さんお気に入りの戯画風文様です(フィールドのどこかにあるらしいです)
    Q1.まずは簡単にモンハンライズで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1.背景の制作仕様の取りまとめや背景アートの全体監修、後はセクション全体の運営って所ですかね。大社跡はモデル制作にも関わってました。
    Q2.モンハンライズでは特色の異なるフィールドが複数登場していますが、全体としてのコンセプト、そして各フィールド個別のコンセプトについて教えて下さい。
    A2.全体としては一瀬さんが掲げたコンセプト『和風』『妖怪』辺りから背景デザイナーによって『おどろ感』のある背景アートが生み出されました。 大社跡は廃墟化した社跡で妖怪モチーフのモンスターが最初に登場するステージでもあるので背景もコンセプトに合わせて何かありそうな辛気臭いシリアスな感じ、感覚としてはお化け屋敷に入るような感じを目指しました。また、ユーザーが最初にプレイするステージなので難度低めの地形にもなっています。
    寒冷群島は侘び寂びを感じる雪景色、厳しい冬の日本海のイメージ。太古に巨大モンスターと交戦を交えた跡が色々と想像力を掻き立てられるロケーションになってます。ゲーム的には水属性モンスターが行き来しやすいように設計されたステージです。
    溶岩洞は火山と鍾乳洞が織りなす危機的情景。活火山によって常時変化し続けているようなエネルギッシュなイメージですが・・・モンハンではお馴染みの火山系ステージ、鉄板ですね(笑)。ただ溶岩洞は火と水という相反する二つの属性地形がステージ内にあるのが特徴的です。地形難度も高めの設計です。
    Q3.「水没林」「砂原」はシリーズからの復活フィールドとなりますが、どのような経緯からその二つが選ばれたのでしょうか。
    A3.これまでのシリーズ作品をプレイしていたユーザーにもあの場所がリメイクされて帰ってくるといった体験を提供することで懐かしさを感じてもらえればいいな、という理由からですね。そういう方たちへのフックになればと。
    昔はエリアごとに区切られた世界だったものをシームレスなフィールドにすることで今まで謎だったフィールドのつながりに新たな発見をする楽しみが感じられたり、そういったところに懐かしさにプラスした新しい体験として受け取ってもらえるのが狙いでした。当然新規ユーザーにとってみれば、すべてが新規のフィールドですし、これまでのシリーズ作品にも同じフィールドが存在したというところから、それらの作品にも興味をもってもらえたら嬉しいです。
    Q4.1つのフィールドが完成するまでにどのような工程、そしてどれくらいの期間を要するのでしょうか。
    A4.まずはどれ位の難度の地形にするかを決めるレベルデザインから始まり、その間にステージで必要になりそうなアセット*¹の制作、次にアセットを配置するレイアウト作業で見た目を構築、最後にプレイヤーやモンスターを設置する為のコリジョン*²制作、ざっくりとこのような工程を経て背景は完成します。この他にも壊れ物や経路用のデータ制作も同時進行で進みます。
    制作期間はレベルデザインが約2~3か月、アセット制作は小物であれば1~2日、大物であれば5~10日、レイアウト作業は3~4人で一つのステージを約1.5~2か月、コリジョン制作も3~4人で一つのステージを約1~1.5か月、これらを五月雨になるようにスケジュールを組み立てる感じです。
    *¹ 素材、部品など *²当たり判定(衝突判定)
    Q5.開発途中の段階で、フィールドがエリア式からシームレスなものへと変わりましたが、背景チームとしてはとても大きなインパクトがあったのではないでしょうか。
    A5.大社跡はエリア制で既に出来上がっていて寒冷群島も制作途中だったんで、インパクトどころか。。。どうすればいいの!?状態でした。シームレスになると作り方も全く変わってしまうので今まで作ってきたものを捨てて一から作り直す位の気持ちと覚悟が必要でした。社内でSwitchタイトルをREエンジンで制作した実績が無かった上に、当時シームレス対応したSwitchタイトルもほとんど無い状態だったので何もかもが手探りでした。幸いメンバーの中にはシームレス化に前向きな意見もあったり、また、シームレス化の為に関係各所からの助力もあって何とか形にする事が出来ました。
    今はやってよかったなと思っているのですが、当時は制作体制を立て直すのが本当に大変でしたね。自分でもよくやりきれたなぁ。。。と思います(笑)。共に戦ってくれたメンバーには感謝、感謝、感謝です。
    Q6.背景スタッフの方々にはTwitter企画「開発背景スタッフのおすすめスポット」もご協力頂いていますが、本作を遊んで頂いたたくさんのユーザーの方からの反応の中で、気になったものはありますか。
    A6.お仕事の合間にコメント読ませて頂いているんですけど、こだわって何度も作り直した箇所をお気に入りポイントとして挙げてもらってたりする記事を目にするとやっぱグッときます。ちゃんと伝わってるんだなぁ、あの時手を抜かないでよかったなぁ、と。開発者冥利に尽きますね。ありがとうございます!ゲームには直接関係無い背景ですがメンバーは全力で制作に取り組んだ作品になっているのでまた採集クエなどで色々と見て回ってほしいですね。討伐クエで疲れた時にでも。
    しばたより一言:
    寺井さん、ありがとうございました!
    開発途中でフィールドがエリア式からシームレスなものに変わった話は把握していましたが、実際の作業を担当された方のお話からはその壮絶さがリアルに伝わって来ますね。
    また、溶岩洞の地形難度が高く作られていた話は個人的にとても合点がいきました。今でもモンスターが移動した際にどのルートでいけば早く着くんだっけと悩んでしまう事があるんですよね。
    次回はSteam版「モンハンライズ」のプロデューサー、砂野さんにインタビューします!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。 モンハンライズのインタビュー企画第十四弾は、1月13日に発売されたSteam版『モンスターハンターライズ』のプロデューサー、砂野さんにお話しを伺いしたいと思います!よろしくお願いします!

    第14回

    Steam版『モンスターハンターライズ』プロデューサー
    砂野さん
    Q1.まずは簡単にモンハンライズで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1. Steam版『モンスターハンターライズ』のプロデューサーとして、たとえば、Steam版(PC版)移植あたって必要な対応内容をスタッフと協議して仕様の最終判断を行なうといった開発サイドの業務から、ハンターの皆さまに計画通りのスケジュールでゲームを提供するためのプロジェクト管理、プロモーションや販売戦略の部分まで、幅広く担当しています。

    Steam版モンハンライズのストアページ
    Q2.発売からおよそ一か月経ち、多くの方から嬉しい反応があったと思いますが、印象に残っていたり気になったものはありますか。
    A2.Steam版『モンスターハンターライズ』は、Nintendo Switch版の発表後に、様々な地域で発売を希望する声を多くいただいた結果、制作することを決定した経緯もあり、Nintendo Switch版から発売までお時間をいただく形になってしまいましたが、発売時に多くのPCゲームユーザーの皆様に「やっと遊べる!」と喜んでいただけたことが本当にうれしかったです。

    開発面においても、4K対応や高解像度テクスチャ対応といったグラフィック面からゲーム自体の動作・パフォーマンスといった部分でPC版移植のクオリティを評価いただく声もいただき、開発スタッフの努力が報われた想いでした。これはひとえに、Steam版開発スタッフがPCゲームとして必要な追加開発内容を精力的に検討・対応したおかげだと思っています。

    4K解像度にも対応しており、より精細なグラフィック表現が体験できる
    Q3.Nintendo Switch版の発表後に、多くのユーザーからの反響を受けてSteam版の制作が決まりましたが、プロデューサーを任された心境としてはいかがでしたか。
    A3.私自身、Steam版タイトルの開発に携わることが初めてだったこともあり、自分のこれまでの経験や知識が通用するのか不安に思う部分もあったのですが、せっかくいただいた機会ということもありますし、何より自分が長くPCオンラインタイトル(モンスターハンター フロンティア)に関わっていたこともあり、世界にたくさんいらっしゃるPCゲーマーの皆さまに「モンハンライズ」をお届けできるお手伝いができるのであれば、喜んで引き受けさせていただこう、という心境でした。

    砂野が過去に担当していた『モンスターハンター フロンティア』のビジュアル
    発売後に、これまではあまり触れることのできなかった海外ユーザーの皆様や、自分が過去に携わったタイトルのユーザーの皆様も楽しんでプレイいただいているお声をSNS上などで見ることができたので、引受させていただいてよかったなと感じています
    Q4.改めてとなりますが、Steam版モンハンライズを遊んでいる、またはこれから遊ぼうと思っているユーザーに向けて、注目して欲しいポイント等を簡単にご紹介頂けますか。
    A4.まずはSteam版モンハンライズをこれから遊ぼうと思っている方(または悩んでいる方)に向けて。
    Steam版モンハンライズは、独自の追加開発をいくつか行なっています。

    主な要素としては、4Kまで選択可能な高解像度対応、モンスターなどの高解像度テクスチャへの切り替え(オプション機能から切り替えることができます)やフレームレートの上限変更などを可能とするグラフィックスオプションの最適化、ウルトラワイドディスプレイ対応などです。
    PCゲーム環境ならではの高グラフィックな表現や、高フレームレートのなめらかな狩猟体験が味わえますので、これまでSteam版のモンハンシリーズをプレイしたことのない方も、ぜひ一度体験してみていただきたいです!

    ウルトラワイドモニター(21:9)でプレイ中の画面。幅広い視野で狩猟が楽しめる。
    次に、すでにSteam版モンハンライズを遊んでいる皆様に向けて。
    まずSteam版モンハンライズをプレイしていただいてありがとうございます!

    Steam版では、追加モンスター・追加エンディングなどを含むNintendo Switch版のVer.3.6.1までの内容を含む形で発売、2022年2月24日にVer.3.9.0までの内容を含む形でアップデートしており、豊富なイベントクエストを配信中です。魅力的な報酬が手に入るコラボクエスト(『大神』や『ストリートファイター』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』コラボなど)から、腕試しができる高難度クエストまで、たくさんの種類がありますので、ぜひ引き続きお楽しみいただけますと幸いです。

    また、Steam版ではおまけ要素として、いつもと少し変わった雰囲気でのプレイが楽しめる「各種フィルター」機能などもありますので、ぜひスクリーンショットや動画を撮影してSNSなどに投稿ください!

    「モノクロ(シネマ風)」フィルターのスクリーンショット
    Q5.公式サイトでは動作確認済みPCとしてゲーミングPCはもちろん、複数のノートPCも紹介されています。ノートPCでの動作対応はどのような狙いがあったのでしょうか。
    A5.もともとモンハンライズは「いつでも、どこでも、誰とでも、気軽に楽しめるモンスターハンター」をコンセプトに開発されたタイトルです。そのコンセプトに沿って考えたときに、「どこでも」という点においては、デスクトップPCよりも持ち歩きのできるノートPCのほうが当てはまるなという考えがありました。

    また、PCゲーム人口は増加傾向にありますが、まだまだPCゲームを始めるにあたって「プレイするのにどんなPCが必要なのかわからない」「スペック表の見方がわからない」という方はたくさんいらっしゃいます。そうした状況において、(ともすると玄人向けとも思われがちな)ゲーミングPCだけでなく、ビジネスや日常使い目的で購入されることの多いノートPCでもSteam版モンハンライズがプレイできれば、そうした方への橋渡しになるのではないかと考えがあったので、インテル様にもご協力いただいて、インテル製のオンボードグラフィックス「インテル® Iris® Xe グラフィックス」を内蔵するノートPCで安定して動作するように開発を進めた形になります。

    公式サイトにて各メーカーでの動作確認済みPCを紹介中
    発売後には、多くのメーカー様にご協力をいただきまして、各メーカーによる動作確認済みPCを公式サイトにてご紹介していますので、PCの購入を検討されている方はぜひ参考にしていただけますと幸いです。
    Q6.最後にユーザーの皆様に向けて一言お願いできますでしょうか。
    A6.今年の夏には、モンハンライズの超大型拡張コンテンツ「モンスターハンターライズ:サンブレイク」が発売予定です!私自身「サンブレイク」でも引き続き、主にSteam版に関わる部分のプロデュース業務に携わっておりまして、Steam版「サンブレイク」についてもNintendo Switch版と同時にリリースすべく、鋭意開発を進めておりますので、ぜひ発売までお楽しみにお待ちください!
    しばたより一言:
    砂野さん、ありがとうございました!
    PCゲームユーザーの方にも楽しんで頂ける様、開発したSteam版『モンスターハンターライズ』。
    グラフィックスまわりのオプションや、おまけの「各種フィルター機能」など追加開発された要素も魅力的な作品です。遊べるプラットフォームが増える事で、より多くのユーザーの方にモンハンライズを遊んで頂けることが、現場を担当する人間として大変うれしく思います。
    次回はいよいよモンハンライズの超大型拡張コンテンツ「モンスターハンターライズ:サンブレイク」のディレクター、鈴木さんにお話しをお伺いします!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第十五弾は、モンハンライズの超大型拡張コンテンツ『モンスターハンターライズ:サンブレイク』のディレクター、鈴木さんにお話しを伺いたいと思います!よろしくお願いします!

    第15回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』ディレクター
    鈴木ディレクター
    Q1.2021年9月にタイトルを発表して、多くのユーザーさんから反応があったかと思いますが、どのように感じましたか。
    A1. はじめに大きな反響があったのは、本作のメインモンスターでもある「爵銀龍メル・ゼナ」です。ティザー映像の段階から国内だけでなく海外からも非常にたくさんのお声を頂きました。次いで反響があったのは、新たな登場人物「王国騎士フィオレーネ」です。映像のみで素性が明らかになっていない段階から、過去の情報を頼りに「ロンディーネ」との姉妹関係を予想する、鋭いユーザーさんが多かったことを覚えています。
    Q2.サンブレイクはライズの超大型拡張コンテンツですが、ストーリーや舞台となる拠点など、どのように決めていったのでしょうか。
    A2.本作はライズの続編となるコンテンツですので、ライズの世界観や様々な要素を確認しながら、新たなコンセプトを検討しました。当初はライズの持つ「和やアジアのテイスト」を引き継ぐ案を考えていましたが…徐々に「西洋の妖怪」を絡めたチャレンジをしたい!という思いが強くなりました。そこで思い切って西洋モチーフを織り交ぜたコンセプトの企画書を作成し、辻本プロデューサーや一瀬ディレクターへお見せしたところ…有難く承諾を頂けましたので、そこからプロットを書いてストーリーを固めていきました。
    Q3.先日3/15のスペシャルプログラムでは発売日の他、メインビジュアルも公開になりました。そこにはフィオレーネの姿もあるのですが、彼女は本作でもかなり重要な登場人物なのでしょうか。
    A3.はい、フィオレーネはサンブレイクのストーリーにおけるもっとも重要な登場人物のひとりです。皆さんの分身であるカムラの里の「猛き炎」と、どのように関わっていくかは是非、ゲームの中でお確かめください。
    Q4.サンブレイクではチャレンジングなマスターランクのクエストがハンター達を待っていますが、クエストの種類や難易度はどのようになっているのでしょうか。
    A4.サンブレイクではMR(マスターランク)という新たなランクが登場し、ライズをプレイしたユーザーの皆さんが、さらに歯応えを感じられるクエストを目指して調整を行っています。MRの序盤のクエストにおいては、より多くの皆さんにサンブレイクの世界を味わって頂けるよう、難易度はやや抑えめとしていますが…徐々に、難易度の高いクエストをご用意していますのでチャレンジ頂ければと思います。
    Q5.最後にユーザーの皆様に向けて一言お願いできますでしょうか。
    A5.私にとって、本作が初めてのディレクター作品となります。日々、大きなプレッシャーを感じつつも…沢山のスタッフに支えられて開発を行ってきました。新たな要素の追加はもちろんですが、ライズの様々な要素についても、限られた時間の中で調整を行っています。ユーザーの皆さんのお手元に、少しでも良い作品をお届けできるよう、スタッフ一同頑張っていますので、お楽しみにお待ちください!
    しばたより一言:
    鈴木さん、ありがとうございました!
    ライズの続編でありつつも、西洋モチーフを織り交ぜたコンセプトということで、サンブレイクの舞台となるエルガドや新モンスターなどからは新たな雰囲気も感じて頂けそうですね。
    サンブレイクから登場するマスターランクのクエストは基本的にマルチプレイで挑戦する事も出来ますし、難易度もライズ同様1人用から4人用まで4段階ありますので、皆さん好きなやり方でチャレンジして頂ければと思います。
    今後はサンブレイクの開発現場のメンバーにもお話しを伺っていきます。 次回は「モンハンライズ:サンブレイク」のアートディレクター、大内さんを予定しています!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。 モンハンライズのインタビュー企画第十六弾は、モンハンライズの超大型拡張コンテンツ「モンスターハンターライズ:サンブレイク」のアートディレクター、大内さんにお話しを伺いたいと思います!よろしくお願いします!

    第16回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』アートディレクター
    大内さん

    ↑大内さん、ではなく大内さんお気に入りのシロフクズクの画像です。かわいいですね。



    Q1. まずは簡単にモンハンライズ:サンブレイクで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1. ゲーム内のビジュアル面のディレクションをメインでやっています。ビジュアル面での世界観や作品の統一感の構築、パブ/プロモーションのビジュアル監修等を行っています。
    Q2. 今作のビジュアルコンセプトやテーマは何かありますでしょうか?また、気を付けた点などあれば教えてください。
    A2. 参加した時既に「西洋/妖怪」がゲームコンセプトとしてありました。
    ですので、そこに「ホラー」「西洋の華やかさ」「洗練されたデザイン」等のキーワードを足して世界観を膨らまして行きました。例えば「ホラー」というキーワードであれば、本作で新たに登場するフィールド「城塞高地」は夜になると紅色の空が広がる怪しい雰囲気を持っていたり、という形でゲーム内の様々な要素に落とし込んでいます。
    そういった中で特に気を付けた点は、「MHシリーズとしての設定と構築」です。
    ライズはテーマがかなり尖っていましたが、説得力のある設定や世界観の構築はMHシリーズをしっかり踏襲されている作品でした。
    この設定と構築の上に、サンブレイクとして新しさと尖りを入れていく事を考えていました。 やり過ぎるとバランスが崩れるので、そこを常に注意しながら作っていたイメージです。
    Q3. ディザーアートとパッケージアートについて教えて下さい。プロデューサーやディレクターからどのようなオーダーがあり、どのように組み立てて制作したのでしょうか。
    A3.
    【ディザーアート】
    ティザーアートは「モンスターの全貌は見せたくない」「夜の城塞高地のピンク色でインパクトを出したい」というオーダーがあった為、 そのオーダーを活かしたインパクトのある絵にしようと決めていました。
    「メル・ゼナのキャラ性」「城塞高地の畏怖さ」等を主軸に、 「西洋ホラー」「これはMHなの?と惹きつける」「謎を残し、考えてもらう」「ヒントも入れる」 などの要素を構図やモンスターの動き、ライティング、アングルに入れ込んで作成しました。
    【パッケージアート】
    パッケージアートは「王道」「狩猟シーン」「ライズの大型拡張として分かる事」「サンブレイクの新しさ」等のオーダーがありました。
    こちらはMHシリーズに合わせた王道の構図にして、しっかりとモンスターをアピールしつつ 様々な媒体で使いやすいように画全体の構成を行いました。
    また、サンブレイクの新要素である「盟勇」も含めたかったので、フィオレーネをメンバーの構成に入れ、 新しい武器やガルクの新装備等ヒントも盛り込みました。
    この画でユーザーの皆様が喜んだり、期待したり、様々な事を考察してほしいなと思い作成しました。
    Q4. 本作のビジュアル面でユーザーの皆様に期待して欲しいことなどはありますでしょうか。
    A4. やはりサンブレイクの看板である「王域三公」は特に時間をかけました。
    西洋妖怪をコンセプトに生物としての説得力、生態的な魅力、ハンターや世界との関わりなど様々な方向性からアプローチして皆で試行錯誤して作成しました。
    エルガドのキャラクターや城塞高地の設定、ストーリーに合わせた仕掛けや展開など、今回は仕込めるだけ仕込みました。
    ライズの時と同様に、サンブレイクでもゲーム内に小ネタも一杯入っていますので、ゲームをプレイした時に色んな発見を楽しんで頂けると思います。
    Q5. 最後にユーザーの皆さんに向けてメッセージをお願いします!
    A5. 参加した時、ディレクターの鈴木からサンブレイクの概要を聞いて最初の感想は、 「何これ新作つくる勢いじゃん・・・」でした。やりたい内容、テーマ、作業ボリュームなど開発陣はサンブレイクを作るにあたり、ただの拡張コンテンツを作る姿勢ではありませんでした。
    その思いをなんとか形に出来たのではないかと思います。 また、発売以降の無料タイトルアップデートについても絶賛作業中でして、こちらも開発陣は一切妥協していません!
    (少しは妥協してよ…こだわり凄すぎ…)
    MHシリーズは歴史が長く、ユーザー皆様の思いや開発の思い、 様々な思いが重なってタイトルが構築されてきたと私は思っています。 その思いを今後も踏襲しつつ、その上でさらに驚きや興奮を届けられるような、 そんな作品をスタッフ一同作っていければと考えております。

    サンブレイク楽しんで下さい!
    しばたより一言:
    大内さん、ありがとうございました!
    モンスターハンターシリーズ、そしてベースゲームのライズを踏襲しながらサンブレイクではどのような要素を入れたらユーザーの皆様に楽しんで頂けるか、様々な観点から協議検討して一つの作品に仕上げているのですね。パッケージアートはかなり早い段階で公開されていましたので、その時未発表の要素が入っていると予想や期待が膨らんで面白いですよね。

    次回はサンブレイクで追加されるシングルプレイ専用のクエスト「盟勇クエスト」について、担当企画のジュンさんにお話を伺いたいと思います!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    インタビュー企画第十七弾は、モンハンライズの超大型拡張コンテンツ「モンスターハンターライズ:サンブレイク」で追加されたシングルプレイ専用のクエスト「盟勇クエスト」および「盟勇」について、担当企画のジュンさんにお話を伺います。よろしくお願いします!

    第17回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』「盟勇クエスト」および「盟勇」担当企画
    ジュンさん
    Q1. まずは簡単にモンハンライズ:サンブレイクで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1. 「盟勇」のリーダーを担当しています。
    「盟勇」の企画、制作、コンテンツなど盟勇関連全般を担当しました。
    Q2. 今作から追加された「盟勇」ですが、どのような経緯で実装することになったのでしょうか。
    A2. ディレクターの鈴木から「ともに共闘できるオトモハンター的存在が欲しい」という話が提示されたところが始まりです。

    そこからいろんなアイディアを出し合っている中で「やっぱりモンスターハンターの世界に登場するキャラクター達と一緒に狩りをしたい!それが一番ワクワクする!」と考え、共闘できるだけでなく、ともに狩猟する存在にしたいと突き詰めた結果が今の「盟勇」につながりました。
    ゲーム内で遊べるコンテンツとしてもいろんな形を検討し、試しました。
    ハンターと盟勇、また盟勇同士の関係性を体感していただきたいと思ったことから、 クエストの前後に会話を挟んだり、盟勇同士の掛け合いの会話を入れたりと盟勇と触れ合う場面にも 力を入れて作りました。
    Q3. SNS等の反応を見ていると「回復や罠の設置などサポートが助かる」「モンスターへの攻撃を積極的に行ってくれて非常に頼もしい」といったポジティブな声が多く見られますがいかがでしょうか。
    A3.
    思っていた以上にポジティブな反応を多くいただいているので嬉しい限りです。
    モンスターに挑むシーン以外でも、好きな盟勇を同行して撮った面白い写真や、盟勇と共にした面白い場面を動画でSNSに投稿して盛り上がったりと、ハンターの皆さんが楽しんでいる様子を開発チームも楽しみながら見ています。 楽しく遊んでいただいているハンターの皆さん本当にありがとうございます。

    盟勇は無機質なロボットのような存在ではなく、それぞれのキャラクターに得意/不得意があります。これらは盟勇情報で確認できる「狩猟スタイル・スキル・選択可能な武器」以外にも狩猟中各盟勇の行動で体感できます。例えばガレアス提督は一見狩猟行動の特徴が薄いようにも見えますが、狩猟中に体力回復・状態異常回復・各種ステータスアップを高い頻度で行います。これらがスキル「広域化」と重なりプレイヤーにもその効果を付与して狩猟をサポートしてくれます。
    また、重要調査クエストでは盟勇を2人まで自由に選んで同行できます。盟勇2人の組み合わせには様々なバリエーションがありますので、自分の狩猟スタイルに合う盟勇が誰なのか考えながら是非色んな組み合わせで狩猟を楽しんでいただきたいです。
    Q4. 「盟勇」を実装するにあたり、特にこだわって制作した要素や苦労した点はありますか。
    A4. 「マルチプレイのような共闘感」「キャラ性」を出すことを大きな目標として取り組みました。

    マルチプレイのような共闘感を出す為に、自然さに特に気を配りました。
    「共闘できるAI」という存在にとどまらず、「役に立つ存在になってほしい」という思いで制作していましたが、固定された特定の行動だけを繰り返すと自然さは薄くなり、ロボットが同行しているような感覚になりがちだったため、ときには逃げ回ったり回復しながらモンスターの隙を見て立ち回ったりといった様々な行動をしてもらうことで、マルチプレイで他のハンターと遊んでいるような共闘感を演出しました。
    ただ強いだけのNPCを作ることは簡単ですが、いかに自然な動きをしてくれるかが「共闘感」のカギでしたので、苦戦しながらもとても大事にしてきた部分です。
    最終的な目的は盟勇という存在と触れ合っていくことで、ストーリー、世界観への没入度を高めることでしたので、自然な動きが取れるようになった後は、盟勇一人一人のキャラ性を出すことに注力しました。基本設定を元に、使える武器、アイテム、行動傾向などキャラ性を引き出せる各要素を設定して、クエスト同行中にそれぞれの盟勇の魅力を感じれるように工夫しました。

    特に二人の盟勇を同行したときに楽しめる「盟勇同士の掛け合い会話」やジェスチャー・ポーズへの反応、待機中に行われる賑やかな行動など、狩猟時のアクション以外の部分でも楽しめる要素をたくさん盛り込んでいますので好きな盟勇を同行して触れ合ってみていただけると、それらの面白さを楽しんで頂けると思います。
    Q5. 最後にユーザーの皆さんに向けてメッセージをお願いします!
    A5. 楽しく遊んでいただいているハンターの皆さん本当にありがとうございます。
    この場をお借りして感謝申し上げます。
    しばたより一言:
    ジュンさん、ありがとうございました!
    クエスト中のセリフや盟勇同士の会話、そして狩猟中に様々な行動をとってくれるので、共にクエストに出発するのが楽しみになりますよね。皆さんも是非、様々な盟勇達との狩りをお楽しみください。
    次回は本作のサウンド制作を手掛ける堀さん、小倉さんにお話を伺いたいと思います!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    インタビュー企画第十八弾は、モンハンライズ:サンブレイクのサウンドを手掛けるコンポーザーの堀さん、小倉さんにお話を伺います!よろしくお願いします!

    第18回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』
    リードコンポーザー
    堀さん
    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』
    コンポーザー
    小倉さん
    堀さん
    小倉さん
    Q1. まずは簡単にモンハンライズ:サンブレイクで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1.
    堀:リードコンポーザーの堀 諭史です。 ゲーム全体の音楽監修や音楽的なコンセプトの考案、各コンポーザーへのディレクションをライズより引き続き担当しております。
    小倉:コンポーザーの小倉 真奈です。 同じくライズより引き続き楽曲制作や実装及び各種映像用の編集等を担当しております。
    Q2. お二人は「サンブレイク」のベースゲームとなる「ライズ」のサウンドも担当されていましたが、「ライズ」「サンブレイク」それぞれの作品におけるサウンドのテーマや方向性について教えて頂けますか。
    A2.
    堀:『ライズ』では声の要素、和を感じさせる要素を中心に音楽の世界観を作っていましたが、『サンブレイク』ではオーケストラと古楽器を中心とした、西洋を感じさせる響きや空気感を大切に制作しています。
    小倉:同じく『ライズ』では和の要素を、『サンブレイク』では西洋の要素を主軸とした方向性にしています。
    Q3.「ライズ」から「サンブレイク」で変えた点と、逆に「サンブレイク」においても継続している、または拡張している要素はそれぞれどのようなところでしょうか。
    A3.
    堀:『ライズ』では前述の通り、過去登場モンスター曲にも積極的に声の要素を入れていましたが、『サンブレイク』では原曲に忠実にしつつ、今、このモンスター曲の続きを作ったらどうなるのか?といった気持ちで制作しました。
    『ライズ』、『サンブレイク』ともに原曲をリスペクトしている点は継続しつつも、『サンブレイク』ではより当時の音楽性を重視、再解釈してアレンジを施しています。
    小倉:楽曲面では肉焼きやセール等細かな曲を和風から西洋風へアレンジしていたり、ゲーム面ではカムラの里でクエストを受注した時とエルガドでクエストを受注した時でクエストクリア曲が変わるようにしていたりします。
    また、「原曲をリスペクトしている点」に関しましては、過去作に登場していたゴア・マガラやシャガルマガラ等の原曲を作曲した鈴木まり香さん本人に今作用のアレンジを担当してもらっている曲もあります。
    Q4. お二人はゲーム音楽を作る上で、普段生活する中で心がけていたり、意識している事などはあるのでしょうか。
    A4. 堀:ゲームや音楽はもちろん、映画やアニメ、美術など様々なエンターテイメントに触れることを心がけています。自分自身の肌で感情の揺れを体験し、それを音楽としてアウトプットしながら生活をしています。あとは半分以上趣味の世界ですが、生楽器を演奏してリアルな音を耳で直接感じるようにしています。
    小倉:有難いことに色々な知識をお持ちの方が周りに沢山いらっしゃる環境なので、アニメや音楽に限らず様々な「オススメ」を教えていただけます。それを実際に見てみたり聴いてみたりするようにしています。 それと、リフレッシュは大事!ということで休日は休日らしく過ごすことも大切にしています。
    Q5. 本作の「英雄の証」は小倉さんが担当されたと伺いましたが、制作されてみていかがでしたか。 また、ライズの英雄の証を担当された堀さんから見て、小倉さん制作のサンブレイクの英雄の証はいかがでしょうか。
    A5.
    小倉:すごく難しかったです!今まで担当されてきた数々のコンポーザーの先輩方は本当にすごいと痛感しております。きちんと『サンブレイク』バージョンにするにはどのような要素を入れたら良いのか、ゲームで流れる場面に合ったものになっているか、色々な事を考えながら作る必要がありました。
    そして堀さんにはたくさん助けていただきまして・・・感謝しきれません!
    堀:『ライズ』では戦(いくさ)を感じさせる勇ましさが感じられるような構成で英雄の証を制作しましたが、『サンブレイク』ではよりドラマチックな展開があり、音楽的なテーマも感じられる『ライズ』とはまた違った表情のある仕上がりだと感じました。和と洋の対比もつき、より一層音楽的にも拡張できたのではないかと思います。
    Q6.最後にユーザーの皆さんに向けてメッセージをお願いします!
    A6.
    堀:音楽的にも超大型拡張された『サンブレイク』でぜひともお気に入りの一曲を見つけ、マイルームで聴いてみてください!モンスターを狩っているときには気づかなかった新たな発見がきっとありますよ!
    小倉:まずは、『サンブレイク』をプレイしていただき本当にありがとうございます!
    音楽と共に新たな狩りの思い出をつくっていただけますと幸いです!
    しばたより一言:
    堀さん、小倉さん、ありがとうございました!
    サンブレイクではライズとはまた雰囲気の異なる新たな拠点やフィールド、モンスターが登場しますが、サウンドの面でもアレンジや制作に使用する楽器をライズから変えているなど、新たな気持ちでの狩りを盛り上げてくれますよね。インタビュー後に伺ったのですが、モンスターハンターシリーズではお馴染みのテーマ曲「英雄の証」は作品毎に担当者を変えているそうです。
    次回は本作のイベントシーン、モンスター登場デモシーンを担当された企画の若原さんにお話を伺いたいと思います!
    最後に、「モンスターハンターライズ:サンブレイク オリジナル・サウンドトラック」の発売に先駆けて、サウンドのメイキング映像を公開しています。是非ご覧ください!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    インタビュー企画第十九弾は、モンハンライズ:サンブレイクのゲーム中に流れるムービー、モンスターの登場デモやイベントシーンを担当された企画の若原さんにお話を伺います!よろしくお願いします!

    第19回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』プランナー
    若原さん
    Q1.まずは簡単にモンハンライズ:サンブレイクで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1. サンブレイクではプランナーという職種で制作に関わっておりました。イベントユニットのリーダーとして、各種イベントムービーの企画立案、制作進行などを務めておりました。また、イベントムービーに直接関係はしませんが、演出に関わる部分の企画を行っておりました。
    Q2.ゲーム内ムービーの制作について、大まかな流れを教えて頂けますでしょうか。また、一本あたりの制作にどれぐらいの時間が必要なのでしょうか。
    A2. まずは開発内の各メンバーから情報を収集し、ゲーム中に必要なムービーの検討を行います。
    そこから制作が決まったムービーから、順次企画立案を行います。企画立案を行う際はまずは企画書の作成を行い、イベントアーティストや他要素の関係者…、最終的にはディレクターと相談をして内容を詳細に詰めていきます。ムービーの内容や再生に関わる仕様が決まったら、本格的にムービーの制作がスタートします。ムービー制作は、大まかに伝えると以下のような順序で進行していきます。
    「絵コンテ」→「動画コンテ」→「モーション&カメラ制作」→「ライト・VFX制作」→「サウンド制作」
    絵コンテ制作からサウンド制作までの期間は、内容にもよりますがモンスターの紹介ムービーの場合であれば1本あたりで半年程度かかります。(もちろん制作はいくつかのデモを並行して進めています)
    Q3. 若原さんは「サンブレイク」のベースゲームとなる「ライズ」のモンスター登場デモ・イベントシーンも担当されていましたが、「ライズ」「サンブレイク」それぞれの作品におけるテーマや方向性について教えて頂けますか。
    A3. モンスターハンターライズでは「和」「妖怪」をテーマにした世界観だったこともあり、ムービー側でもそれに合わせた内容となるように企画を進めていきました。それぞれのモンスターを妖怪に見立てて制作するアイディアは当初からあったので、古今東西の妖怪に関して調査をしたのはいい思い出です。
    対してサンブレイクではライズとは大きく世界観が変わるため、ムービー側でもライズから方向性一新する必要がありました。そこで「西洋の寓話」「文献の記録」のようなイメージの演出となるように、各関係者と相談を重ね、今の形ができあがりました。
    ライズとサンブレイクでは両方ともムービー中にナレーションが挿入されていますが、ライズでは薩摩琵琶奏者の友吉鶴心さんによる特徴的な琵琶による語り、サンブレイクでは声優の石川由依さんによるシリアスかつ迫力ある語り、どちらもシリーズには欠かせない見どころの一つとなっております。ちなみにライズとサンブレイクではモンハン語による収録も行っております。興味のある方はぜひオプションで言語変更を行ってムービーを確認してみてください。
    Q4. ゲーム内のムービーを制作する上で普段から意識している事、心掛けている事などはありますか。
    A4. 皆様もご存知の通り、モンスターハンターのモンスターには綿密な生態が設定されております。そしてユーザーの皆様にとっても、モンスターの生態を知ることのできる貴重な要素ですので、積み上げられてきた生態設定を崩してはならないという思いがあり、関係者で緻密に相談をしながら制作を進めてまいりました。ムービーを視聴したユーザーの皆様に、生きた世界観を感じ取っていただけるようムービー関係者一同で心がけております。
    Q5. 最後にユーザーの皆さんに向けてメッセージをお願いします!
    A5. まだまだアップデートが続いてまいりますが、合わせて皆様に楽しんでいただけるようなイベントムービーも鋭意制作中です。ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。
    今後ともモンスターハンターライズ:サンブレイクをよろしくお願いいたします。
    しばたより一言:
    若原さん、ありがとうございました!
    ライズとサンブレイク、それぞれ世界観に沿ったモンスター登場デモが印象的ですが、それらを彩る「語り」についても日本語・英語に加えてモンハン語(モンスターハンターの言語)でも収録されていたのですね。モンスター登場デモ、イベントシーンどちらも自室のギャラリーから繰り返し観る事が出来るので、改めてライズのムービーを観てみるのも面白そうですね。
    次回は本作のメインモンスター「爵銀龍メル・ゼナ」についてデザイン・監修担当の申さんにお話を伺いたいと思います!
    今回インタビューを受けて頂いた若原さん、そしてディレクターの鈴木さんがゲーム制作におけるプランナーの仕事を紹介する映像を公開していますので、そちらも是非ご覧ください!
    URL: https://youtu.be/iPDm3CV6Lwo
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    インタビュー企画第二十弾は、モンハンライズ:サンブレイクのメインモンスター「爵銀龍メル・ゼナ」についてデザイン・監修を担当された申さんにお話を伺います!よろしくお願いします!

    第20回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』ゲームデザイナー
    申さん

    ↑申さん作のメル・ゼナのイラスト

    Q1.まずは簡単にモンハンライズ:サンブレイクで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1.ライズからの続投メンバーでもあるのですが、モンスターデザイナー代表として、メル・ゼナを始め、ルナガロン、ガランゴルム、ガイアデルムなど新規モンスターたち全般、また環境生物たちのデザイン・監修をしております。
    Q2. 本作のメインモンスターであるメル・ゼナですが、どのようなモンスターにすることをテーマにしていたのでしょうか。
    A2. 「吸血鬼」という大きなテーマをもとに、「高貴な男爵」「白銀の騎士」というキャラクター付けをしています。「吸血鬼」というテーマ一本で考えている時は、コウモリっぽかったり、蚊っぽい感じだったり、ジメジメしたものだったりと少し陰湿で暗いイメージのデザインが多かったです。
    それだけではメインモンスターとしてパンチに欠けるとして、他に何か味付けとなるものはないかということで、「男爵」「白い甲冑」というものが挙がり、性格面は「高貴」「狡猾」といったキーワードで固まっていきました。また、生物的なモチーフとしても、ヘビや猛禽類といった生物、外骨格といった硬さのあるものが取り入れられたことで、メインモンスターとして、また古龍としての強さが出たと思います。
    「ドラキュラ」は“竜の息子”が語源だったりするので、あえてスタンダードなドラゴンらしい姿にしたところもあったりしますね。目の周りが黒く窪んで見えると思うのですが、吸血鬼の顔色の悪さ(目の下の隈)を表現しています。モーションを見ると分かりやすいですが、翼はマントをイメージしております。腰のヒレも、燕尾服がモチーフになっています。首元に寄生しているキュリアはジャボ襟、特徴的な首のヒレはヴァンパイアの立て襟を模しており、とことん「高貴」なモンスターにしよう、という意図があります。
    また、マガイマガドとの対比も強く意識されています。
    和と洋。虎と竜。武者と騎士。黒と白。
    “対”の意図が分かりやすく出た部位が、顔ですね。最初はコウモリを始め、クリーチャーっぽいものなど少し奇をてらったような案が出ていましたが、最終的に端整なものにしていきました。ゴリっと厳ついマガイマガド、シュッとシャープなメル・ゼナ。モチーフや配色といったデザイン面だけではなく、性格的な面もそうですね。力強さ・猛々しさが印象的なマガイマガド、狡賢さ、優雅さが印象的なメル・ゼナ。力のマガイマガド、知のメル・ゼナ。このように「対」の意識が徹底されています。
    Q3.メル・ゼナは他のモンスターと違い、キュリアとの共生関係が正常に働いている様に思いますが、何か生態的な違いがあるのでしょうか。
    A3. 古龍であるメル・ゼナの持つ強い力と特性が関係していますね。また、王国の歴史やガイアデルムも絡んでいるので、鈴木ディレクターの話も交えながら、説明いたしますね。

    メル・ゼナはかつて、人と互いの領域を侵さないように共存関係を築いていたのですが…
    長い時を経て、メル・ゼナの縄張りの付近で『地底を統べるもの(=ガイアデルム)』が開けた大穴から無数のキュリアが現れ、瞬く間に周囲の生物の精気を奪っていきました。付近にいたメル・ゼナの一部の個体もまた、キュリアに覆われてエネルギーを奪い取られそうになったものの…メル・ゼナの体内にはやがて「抗体」が形成されました。
    これによって、一部の個体はキュリアの精気を体内に取り込む事が出来るようになった…つまり、「キュリアとの共生関係」が成り立ったわけです。しかし、その代償として隠された攻撃性が姿を現し、狂気を纏うまでに至り…キュリアを利用して他のモンスターからエネルギーを吸収しながら、より力を増していった…これが「形態変化」に繋がるというわけですね。
    Q4.メル・ゼナの攻撃アクションの中には「瞬間移動をしたのでは?」と思ってしまうほど突然別の場所に移動しているのですがあれはどういう仕組みなのでしょうか。
    A4.内に溜まった強烈なエネルギーが本体をドンッと突き動かしているイメージです。この強烈なエネルギーはキュリアからもたらされるもので、形態変化するとメル・ゼナが黒くなるのと同じで、瞬間移動の際も瞬間的にメル・ゼナを真っ黒に染め上げます。
    また、瞬間移動に見える動きは、キュリアが胸元についているというのもあるという点にも繋がりがあります。胸元から吸収されたキュリアのエネルギーがメル・ゼナを前に突き動かしている感じですね。
    動きもマガイマガドと“対”になるようにイメージして作られています。マガイマガドは「地を蹴って爆進する」、メル・ゼナは「前に押し出されるように突き進む」。
    ……マガイマガドは「爆破」、メル=ゼナは「波動」。エフェクトも対になっているかもしれませんね。
    Q5.ライズのマガイマガドもそうであったように、メル・ゼナも尻尾の形がかなり特徴的ですが、なぜあの様な形状になっているのか、またそれを攻撃などの行動にどう活かしているのでしょうか。行動ありきでデザインが決まったのか、デザインから行動を考えたりしたのか、関係する担当者とどのようなやり取りがあったの等も教えて頂けると嬉しいです。
    A5.行動ありきのデザインか、デザインありきの行動か。これに関しては、完全にデザインから入りましたね。「燭台が並ぶ長いテーブルの席について、優雅にワイングラスを揺らしている」イメージにしたい、という思いから、ナイフや燭台を彷彿とさせる形になりました。
    その形に合わせてアニメーターがモーションを作ってくれました。その際、あまり野蛮な印象にならないようにだけ注意してもらいましたね。デザイン面もそうですが、モーションも、ワイングラスを揺らすような優雅なイメージを崩さないように作っています。
    しばたより一言:
    申さん、ありがとうございました!
    サンブレイクのメインモンスター「メル・ゼナ」ですが、吸血鬼という大きなテーマをもとに制作されていたことに加えて、ライズのメインモンスターである「マガイマガド」と対の存在としても際立つ様、様々な要素が作られていたのですね。拠点やフィールドの雰囲気などもそうですが、モンスターの作りにもサンブレイクの世界観に沿った作り込み・こだわりを知れば知るほど奥が深くて驚かされますね。
    次回のインタビューは今回紹介させて頂いた「メル・ゼナ」の素材から作られる武器・防具についてデザイナーの坂田さん、橋本さんにお話を伺います!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二十一弾は、前回のテーマであった「メル・ゼナ」の素材から生産される武器・防具について、デザイナーの坂田さん・橋本さんにお聞きしたいと思います!よろしくお願いします!

    第21回

    モンスターハンターライズ
    デザイナー
    坂田さん
    モンスターハンターライズ
    デザイナー
    橋本さん
    坂田さん作のバルファルクアイコン
    橋本さん作のエスピナスイラスト
    Q1. 全武器種に共通して金属の様な質感やポイントとなる赤い結晶が特徴の様に見えますが、何かモチーフやテーマがあるのでしょうか。
    A1. 坂田さん:
    はい、メルゼ武器のコンセプトは、「凝固結晶からエネルギーを得る武器」です。
    凝固結晶については後述するので、ここでは武器本体の形状についてコメントしますね。

    武器本体の形状は、全体的に西洋らしさが感じられる美しいカーブになるようにこだわりました。
    また、尻尾先端の三つ又のトゲを積極的に取り入れるようにしています。

    これにはいくつか理由がありまして、部位そのものがユニークな形状であることに加えて、 シルエットにしたときに「ヌキ」ができるからです。
    少し技術的な話になりますが、シルエットの中にヌキがあると、ヌキがないものに比べて軽さを感じさせることができるんです。
    デザインチームで検討を重ねた結果、「これならメル・ゼナのイメージにもマッチするね」ということで、「メル・ゼナ武器シリーズは、三つ又のトゲをさまざまに加工して利用する武器シリーズにしよう」という感じでまとまっていきました。
    ブレードタイプの武器なら切断のために鋭く研磨しますし、弓のような武器に利用する場合には張力を生むための素材として利用されている、というような具合です。

    大剣


    Q2. メル・ゼナのどのあたりの部位(爪や角など)で構成されているのでしょうか?
    A2. 坂田さん:
    メル・ゼナ本体のメインウェポンである爪と、尻尾の三つ又状の棘から作られているイメージです。
    デザインの初期段階においては、赤い翼膜を取り入れるべきではないかという意見もありました。
    最終的に武器においては、凝固結晶の赤色を目立たせるために、あえて使用しないという判断をしています。
    Q3.西洋風の鎧の要素を取り入れた防具はこれまでのシリーズ作品でもいくつか存在していますが、防具「メルゼシリーズ」のデザインにはどのような特徴を持たせているのでしょうか。
    A3. 橋本さん:
    メルゼシリーズでは、モンハンライズの和テイストの対になるように、西洋の象徴としてベースのモチーフに西洋甲冑を選択しました。そこへモンスターのイメージである「吸血鬼」を合わせています。メル・ゼナの白銀の甲殻で出来た甲冑に、赤い皮膜を用いた立て襟のマントを付けて吸血鬼らしさを出しています。また、貴族の衣装の首元についているジャボ(ヒラヒラ)や燕尾服を参考に、メル・ゼナの持っている「高貴さ」も意識しました。加えて、甲殻の隙間に赤をいれたり、手足の装飾にモンスターの形状を取り入れたりすることで「ただの西洋甲冑」にならないようにしています。基本的に「ヴァンパイア騎士」ではあるのですが、メインモンスターの装備でもあるので、白赤のヒーローカラーを使い「悪」「夜」の要素は抑え目にしています。

    防具メルゼシリーズと大剣
    Q4.タイプ1,タイプ2のデザインでそれぞれどのような違いを持たせているのでしょうか。
    A4.橋本さん:
    どちらもまず甲冑であるというところはずれないようにしつつ、どちらかというとタイプ1の方が正統派の西洋甲冑イメージに近く、タイプ2の方が吸血鬼の装備、と聞いて期待されるような要素が多めになっているかと思います。

    ■タイプ1
    フルフェイス、大きく丸い肩当て、胴プレートでまずしっかりと「西洋甲冑だ」と認識してもらえるようにしました。背面に大きめのマントを持ってくることで、西洋甲冑のスマートな印象はありつつも、シルエットが豪華になるように心がけました。
    ■タイプ2
    サークレットタイプの額当てで顔を見せています。タイプ1では上半身が大きいシルエットでしたので、 タイプ2では西洋のドレスのシルエットを意識して下半身にボリュームを持たせました。
    Q5.メル・ゼナには精気を集めると凶暴な本性を現すという要素がありますが、武器・防具それぞれのデザインにおいてどのように取り入れているのでしょうか。
    A5.坂田さん:
    前述したように、メルゼ武器のコンセプトは「凝固結晶からエネルギーを得る武器」ですので、 抜刀することで赤いラインが走るような表現を取り入れています。
    結晶から流れ出たエネルギーが、武器本体に彫られたミゾを流れていくというようなイメージでした。
    一見すると金と銀のきれいな武器だけど、抜刀することで凶悪な表情を見せるというわけです。
    メル・ゼナ本体の二面性ともリンクするようにデザインをしています。
    Q1.で前述した「ヌキ」に当たる部分に結晶が配置されているのもポイントですね。

    橋本さん:
    甲冑の甲殻の間に生気をためる赤い穴のような部分や、エネルギーの通り道のイメージで赤いスリットをデザインとして取り入れています。
    ですが、メルゼシリーズはあくまで通常の状態のメル・ゼナがモチーフです。
    凶暴な本性を現した時のメル・ゼナの姿は、amiibo特典重ね着防具「龍公礼装シリーズ」のデザインイメージとして採用されています。
    メルゼシリーズよりさらに「吸血鬼らしい」デザインになっています。
    Q6.オトモたちの武器・防具についてはどのようなテーマで作られているのでしょうか。
    A6.坂田さん: 看板モンスターですので、広くたくさんのユーザーに受け入れてもらえるようなデザインにしてもらっています。これぞ看板モンスターのオトモ防具だね、といってもらえるような仕上がりになっているのではないでしょうか。

    メルゼネコシリーズ


    メルゼガルシリーズ
    見どころとしては、アイルーが背負っている武器でしょうか。
    よく見ると、ステッキのトップに猫耳がついているんです。気づかれましたか?
    すべては書ききれませんが、どの武具もデザイナーが知恵を出してデザインされたものです。
    狩りで一息ついたときにはじっくり見てみるのも面白いのではないでしょうか。

    アイルーの武器

    ガルクの武器
    しばたより一言:
    坂田さん、橋本さん、ありがとうございました!
    サンブレイクの看板モンスター「メル・ゼナ」の素材で作られる武器と防具についてお話しお伺いしましたが、武器・防具それぞれにメル・ゼナの生態やコンセプトとマッチする様に作られていますね。モンスターとしてのメル・ゼナもそうでしたが、吸血鬼というベースのモチーフはありつつもモンハンの世界に登場する要素としてきめ細やかな設定や独自性を持たせており、制作スタッフの熱いこだわりを感じます。
    次回は本作のフィールドデザインについて、背景リーダーの遠藤さんにお伺いします。
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二十二弾は、サンブレイクのフィールドデザインについて、背景リーダーの遠藤さんにお話をお伺いします!よろしくお願いします!

    第22回

    モンスターハンターライズ
    背景リーダー
    遠藤さん

    ↑遠藤さんお気に入りの生物。
    「個人的に「螺鈿でん虫(仮)」と呼んでいたのですが採用には至りませんでした。無念。」

    Q1. まずは簡単にサンブレイクで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1. 背景に関連する業務のとりまとめ、主にセクション運営を行っておりました。
    立ち上げ時の背景関連業務全般、スケジュール管理や他セクションとのやり取り、手の足りてないところのサポートその他諸々、手広く業務にあたりました。
    私的なことですがゲーム業界歴で初めてセクション取りまとめをさせて頂きました。
    Q2. サンブレイクでは特色の異なるフィールドが複数登場していますが、全体としてのコンセプト、そして各フィールド個別のコンセプトを教えて下さい。
    A2. サンブレイクのコンセプトが明瞭に見られる城塞高地の話題となってしまうのですが、新規登場となるメインのモンスターのコンセプト「西洋妖怪」を意識して設計しました。王域三公の存在は背景の設計初期から伝えられていたので、三種のモンスターの各縄張りをまずは設定しイメージは「森林」「山岳」「廃墟(古城)」と決め、それぞれの生態等が感じられるように見た目を制作していきました。エリアの形状は各縄張りをさらに設定や要素を細かく作り込んでいき、企画担当から出たギミック案に対応する見た目などに落とし込んでいきました。雰囲気がガラッと変わるエリアを3種持たせているため、ゲームのメモリに乗るギリギリまで処理軽減などを行いましてなんとか事なきを得ましたが…他セクション関係各所にも協力を頂きましたし、背景メンバーには本当に無茶をお願いしてしまいました。そのおかげもありましてメインの狩猟エリアだけではなく、探索のみのエリアも映える物となっておりますのでぜひ隅々まで見て回っていただければと思います。





    Q3.「密林」「塔の秘境」はシリーズからの復活フィールドとなりますが、どのような経緯から選ばれたのでしょうか。
    A3. フィールドの選定はディレクター発案となりますので、詳細は鈴木さんに語っていただきましょう(笑) 登場するモンスターをベースに復活フィールドは決まり、特に塔の秘境はナルガクルガ希少種の登場が大きかったと伺っております。 復活フィールドは当時プレイされていた方に「懐かしい」と感じていただけるよう制作に当たりました。密林は元々個別のエリアタイプの背景でしたので、単純に繋いだだけだと地形が破綻するところが多々あり辻褄を合わせていくと今度は過去作からイメージが離れていってしまう…。ライトの向きなどもゲーム表現の進化に伴い嘘をつきにくくなっているので、密林の担当者は相当気を使いながら設計してくれました。密林は元々地下から標高の高いところまで高低差のあるロケーションが揃っていましたので、アスレチック感の強い立体的なシームレス映えするフィールドとなったと思います。立体的になった結果、今度は上下の設計で描画や挙動の問題がいくつか出ましたが、密林スタッフと他セクションの協力でこちらもなんとか収集がつきました。 塔の秘境はエリア切り替えを挟むので完全な地続きではないのですが、見た目としてこちらも懐かしさは残しつつメインの塔自体の構造や遠景などにかなりこだわりを入れてもらい、エリア付近の遠景など「どういったロケーションのエリアなのか?」説得力が増した塔の秘境として仕上がったと思います。



    Q4.サンブレイクの「密林」はこれまで行けなかったエリア10の遺跡や、さらにはその地下にも辿り着く事が出来る等、かなり作り込まれていますよね。
    A4.制作当初はエリア10の遺跡へは行けないようにしておりましたが、入れないのはおかしいだろう!となりまして……元々地下の遺跡エリアは飛竜種の通路用に穴を開けていたのをプレイヤーも通れるよう遺跡構成を大幅に改良して今の状態となりました。離れ小島の遺跡は当時の密林から何であるんだろう?とは気になっていた方も多いと思うので入れるようにして良かったと思います。
    地下遺跡にあたるエリアは元々企画担当からの熱い要望でしたね。石窟寺院の様な見た目がすごく気に入ってます。





    Q5.フィールドではないですが、新たな拠点である「観測拠点エルガド」もライズの「カムラの里」とはかなり雰囲気が異なりますよね。テーマやこだわりポイントについて教えて頂けますか。
    A5.エルガドのテーマは「王国様式の観測拠点」として制作を開始しました。シナリオに絡む大穴を中心に、穴に飲み込まれなかった土地に王国様式の建物(要塞)があるという作りでした。王国の技術・文化レベル等が高めの設定でしたので拠点内に蒸気技術の表現など賑やかしを入れていきました。
    こだわりとしてはアスレチック要素です。要塞を登った先の大クレーンからの大穴や、フクズクのひな等、エルガドは観光スポット多数です。もう一つ、ローラーコースターの様なトロッコは各セクションを巻き込んで作ったものです。是非一連の動きや出張団子屋での動きなど見て頂けたらと思います!まだ確認されてない方には是非とも。
    ユーザビリティの向上を図り各拠点の機能をギュッと纏めた作りとなりました。思った以上に要素が集中してしまったため処理が追いつくのか本当に心配でした。全ステージで同じ締めの言葉になってますが特に拠点は背景にかかわるスタッフ総動員で何かと収まりました。感謝しかありません。
    しばたより一言:
    遠藤さん、ありがとうございました!
    城塞高地は雰囲気の異なる3種のエリアで構成されていますが、サンブレイクから新たに登場するモンスター「王域三公」とそれぞれ密接な関係があり、本作ならではの世界観を感じる事が出来ますよね。復活フィールドの密林もシームレスかつ立体的に動き回る事の出来る本作の特徴にマッチする作りになっていて、フィールドを駆け回るだけでもとても楽しめます!
    また、Twitterでも遠藤さん達背景スタッフがオススメするスポット紹介をしていますので、そちらも見て頂ければと思います!(https://twitter.com/MH_Rise_JP) 次回はサンブレイクでの登場が話題となったモンスター「エスピナス」について、ディレクターの鈴木さんにお伺いします。
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二十三弾は、サンブレイクでの登場が話題となったモンスター「エスピナス」について、ディレクターの鈴木さんにお話をお伺いします!よろしくお願いします!

    第23回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』
    ディレクター
    鈴木ディレクター
    Q1. まずはエスピナスを登場させることになった経緯について教えて頂けますか。
    A1. サンブレイクのディレクターに任命され、登場モンスターの構想を練り始めた初期の段階で「モンスターハンターフロンティアからもモンスターを1体登場させよう」と考えていました。
    これは私自身がいちユーザーとして思い出深いのも勿論ですが、2019年の12月に、長らく続いたサービスが終了した、と言うことも大きかったと思います。サーバー運営型のオンラインゲームでしたから、ユーザーの皆さんがこの作品で遊ぶこと自体ができなくなる、ということに対して「何かしらひとつ、フロンティアユーザーの皆さんにも届けられるものはあるだろうか?」と考え、それを形にしたかったという想いもあります。

    Q2.登場させるにあたりこだわった点や、気を配ったことは何でしょうか。
    A2. 「サンブレイク」は「ライズ」の続編にあたる作品であり、作品の世界観はもちろんのこと、ゲーム内の遊びやシステムの多くを受け継ぐことになります。その中で少しでもユーザーの皆さんに新しい体験をしてほしい、新鮮味を味わってほしい…!というのが大枠のコンセプトです。 エスピナスもそのコンセプトに則り、原作におけるモンスターのビジュアルイメージや、生態・アクション面で懐かしさを感じさせつつ、サンブレイクとの親和性を確立していく部分にこだわっています。

    一例を挙げますと、エスピナスは眠っている状態からクエストが開始されます。
    その後、攻撃を加えるなどして目を覚まさせるのですが…原作はさらにそこから、しばらくハンターに構うことなく歩き回ります。しかし、サンブレイクにおいては、ライズで確立されたクエストのテンポ感なども踏まえ見直しを行い、冒頭の眠りの部分は踏襲しつつも、目が覚めたのちは速やかにハンターへ襲い掛かるよう調整しました。
    他にも怒り時/非怒り時の肉質の変化ですとか…多岐にわたります。
    このような「原作リスペクトを残しつつ、現作品の遊びやニーズに合わせて調整をかける」部分は開発スタッフも意識して制作してくれました。

    Q3.シリーズプロデューサーの辻本さんや、歴代シリーズ作品の担当者からの反応はどうでしたか。
    A3. サンブレイクの新要素をまとめた企画書を、辻本プロデューサーや一瀬ディレクターへお見せする際は緊張しましたが…どの要素に対しても快く承諾いただき、ホッとしたのを覚えています。もちろん問題があればNGになる部分もあったかと思いますが、「お前が良いと思ったものを作ってみろ」という後押しは感じましたし、とても感謝しています。

    Q4.2022年6月のCAPCOM SHOWCASEで公開したサンブレイクのPV3やTGS 2022で特に話題になったと思いますが、反響についていかがでしょうか。
    A4.反響は多方面から(社内からも…!)頂き、とても嬉しかったのを覚えています。
    また、もっともっとフロンティアからのモンスターを出してほしい!というお声も有難く頂戴しました。
    しかし、サンブレイクはあくまで、「ライズの続編」として制作されたものであり、作品としての親和性なども含め、私は企画の初期段階で明確に「この作品に、フロンティアから登場させるモンスターはエスピナスのみとする。この1体に自身のユーザーとしての思いも込める」という意思を固めていましたので、その意思についてはぜひ、原作を楽しく遊ばれたユーザーの皆さんに少しでも、ご理解を頂ければと思います。

    …と、言いつつ亜種は作ってしまったのですが(笑)
    遊んで頂いた皆様、有難うございました!

    しばたより一言:
    鈴木さん、ありがとうございました!
    エスピナスの登場は反響が本当に大きく、CAPCOM SHOWCASEでの発表からしばらくの間Twitterのトレンド一位が「エスピナス」になっていたのが印象に残っています。原作リスペクトを残しつつ、現作品の遊びやニーズに合わせて調整されている所も、サンブレイクで初めてエスピナスに挑むハンターの皆さんにもしっかりと楽しんで頂けている所以かと感じています。
    次回はサンブレイクに登場するモンスターのモーションについて、担当の山崎さんにお伺いします。
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二十四弾は、サンブレイクで登場したモンスターのモーションについて、リーダーの山崎さんにお話をお伺いします!よろしくお願いします!

    第24回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』
    モーション担当
    山崎さん

    【山崎さんお気に入りのミニガランゴルムイラスト】

    Q1.まずは簡単にサンブレイクで担当されている仕事について教えて下さい。
    A1.サンブレイクではリーダー業務のほかにモンスターモーションを担当しました。主な担当モンスターは王域三公の一体であるガランゴルムです。サンブレイクの顔になるモンスターなのでその名に恥じぬよう個性的なモンスターになるように心掛けて作っていました。


    Q2.サンブレイクに登場するモンスターのモーションを制作するにあたり、どのようなテーマや方針があったのでしょうか。
    A2.担当したガランゴルムはモチーフがフランケンシュタインでした。それを踏まえた上で自然界に生きる生物としての「らしさ」はどこにあるのかを大事にしてモーションを制作しました。メンバーとキャラ性に対して何度も相談しながら、今のガランゴルムが完成しました。
    Q3.モーションの制作はどの様な工程で進むのでしょうか。
    A3.モンスターモーションの制作の工程ですと、最初に企画からどういう遊びをさせたいか、どんな性能の攻撃が作りたいかなどが書いてある企画書をもらいます。その企画書に合わせてキャラクターのイメージに合った仮モーションを作ります。この仮モーションの段階で遊びのテストやモーションとしての絵作り、キャラ性やオリジナリティなどをしっかり組み立ててディレクター、アートディレクターに確認を取ります。問題なければ企画やVFXなどと一緒にゲーム内で調整を行い、時には改造し、クオリティを上げていきます。遊び、絵作りの両面が固まったら、最後にブラッシュアップ作業を行いモーションを完成させています。




    Q4.モンスターの動きも人によるモーションキャプチャーを使っていると聞いたことがあるのですが、どのような使い方をしているのでしょうか。
    A4.ガランゴルムのような人間が「真似」して動けるキャラクターはモーションキャプチャーすることが多いです。メルゼナなどでも腕を翼に見立ててモーションキャプチャーを撮影することがあります。どのキャラクターにも言えることですが、モーションキャプチャーのデータはあくまで「素材」として使っていて、完成したモーションはキャプチャーから大きく変わっていることばかりです。ただしアクターさんがモンスターになりきって演技してくれた細かい表現や雰囲気は残るので、上手く活かしながら制作しています。



    Q5.やはり山崎さんご自身で作られたモンスターの攻撃は簡単に回避する事が出来るのでしょうか。
    A4.そうですね、ほとんどの攻撃はモーションの始動が始まったらすぐにどの攻撃が来るのか分かるので、回避できることが多いです。逆に隙のタイミングを分かっているので攻撃をしに行って返り討ちに合うことも結構あります。分かっているからこその油断ですね・・・。結局は自分で作ったモンスターでも楽勝なんてことはあまりなく、いつもどおり楽しんで遊べちゃっています。
    すべてのモンスターにこだわりを入れて作っていますので、攻撃を回避しながらじっくり見てもらえると嬉しいです。
    しばたより一言:
    山崎さん、ありがとうございました!
    自然界に生きる生物としての「らしさ」とプレイされる方にどういう遊びをしてもらいたいかをしっかりと検討した上でモンスターごとのキャラ性・オリジナリティを追求してそれぞれのモーションを制作しているのですね。ご自身で作られたモンスターの攻撃が分かっていても当たってしまうし、楽しく遊べるのは仕上がりとしては満点に近いのではと思いますね。
    次回はライズの頃にインタビュー出来ていなかった「ガルク」について、担当の阿部さんにお伺いさせて頂きます!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二十五弾は、ライズで新たに加わったオトモ「ガルク」について、担当デザイナーの阿部さんにお話をお伺いします!よろしくお願いします!

    第25回

    『モンスターハンターライズ』
    「ガルク」デザイナー
    阿部さん
    Q1.まずはライズ・サンブレイクで担当されたお仕事について簡単に教えて下さい。
    【ライズ】
    ガルクと翔蟲を最初にデザインしました。
    モンスターはビシュテンゴ、ヤツカダキ、奇しき赫耀のバルファルクのコンセプト。
    ガルクの装備デザインとキャラクターエディットのバリエーション
    そのままガルクモデル制作と監修…武器デザイン…小物制作…といろいろ関わらせてもらいました!

    ▼自分がデザインに関わった中で、思い入れのある装備デザインです。初期装備は色んな場面で使われるのでやはり思い入れがあります。アロイ装備はすごく苦労しました…
    ベリオロスとドスバギィはプレイヤーとのお揃い感がお気に入りです。

    ▼こちらは自分でモデリングしたお気に入り装備です。アイルーも混ざってますが、ベテランの方と話し合って「どうしたらかわいい&かっこいいをシルエットで出せるのか」熱く相談した思い出が…笑

    【サンブレイク】
    ガイアデルムのデザインをメインで担当し、モンスターのデザイン監修のヘルプ、
    ガルク装備デザイン…は自分ではやってませんが、若手メンバーや他デザイナー達と一緒に作りました。
    Q2.ガルクのデザインにあたり、テーマや方向性などディレクターからどういった内容の指示や依頼があったのでしょうか。
    A2.アイルーと対象的になる事を大前提として、
    ガルクは「かっこいい」「犬であってオオカミやモンスターではない」「頼れるパートナー」というテーマが重要視されました。
    最初は攻撃的なサポートをするオトモと聞いていたので、ウロコや鋭い目つきなど、モンスターのような要素が多めでした。
    一瀬ディレクターやデザイナーの方々と相談していく中で、どんどん犬要素の割合が多くなっていきました。

    ▼相棒、パートナーから鷹匠や猛禽類のイメージも出ていました。この時のシルエットの印象は今のデザインにも受け継がれています。

    ▼素早さから連想して、稲妻模様が入っていた時期もありました。今見ると派手ですね…笑

    ▼こちらは方向性が決まった時の案出し。左上は相棒っていうよりは、モンスターですね…
    色が決まってからは一気に進んだ覚えがあります。テーマカラーって大事です。

    MHRiseのコンセプトに「忍者」というキーワードがあったので、
    パートナーであるガルクにも忍者的な要素が入れられないか、アイルーが明るい茶色なので対象的な色のイメージが良いのでは?という事で今の青紫色になりました。実際のメインカラーは装備を着た時に暗く沈まないように、体の色がデザイン画よりも少し明るくなっていますね!
    また、胸毛も装備を着用した時のために控えめになっています。

    Q3.制作にあたりこだわった点について教えて下さい。
    A3.ガルクのモデル自体はベテランモデラーの方にお願いしたのですが、こちらの要望に細く答えてくださいました。筋肉質なオオカミではなく、狩猟犬であるサルーキ(犬種)を参考にしてもらうとか、かといってプレイヤーが搭乗するので細くなりすぎないよう注意深く作っていただきました。
    遠くから見た時に「頬毛」としなやかなシルエット、そして後ろから見た時に見える肉球…これは色んな装備の「足の裏」にこだわりが出ていますので、ぜひご自分の目で見てください!

    また、ユーザーさんも開発陣もきっと大好きな要素である「触れ合い」
    これは開発の初期から一瀬ディレクターを始めとして皆さん熱い思いがあったので、実装された時は開発陣のモチベーションがすごく上がりました。
    頭撫でるだけじゃ物足りない!でかい犬のお腹をワシワシしたい!!とガルク関係者だけでなく色んなセクションの方とお話した覚えがあります。

    ▼一瀬さんの初期企画案から抜粋

    ▼実際の画面

    撫でが実装された日は一日中眺めていました。


    模様の組み合わせも、ガルクの良さはありつつも色んな犬種が再現できたら良いな…という思いがあり、モデラーさんと一緒に頑張って調整しました。特に三毛模様がすごくバランスが難しく、調整している間は毎晩夢に出ました…笑

    また、ガルクの見た目だけに拘ったのではなく、ゲームの中で動いた時の印象についても色んな方と話し合いました。ガルクに乗った時のプレイヤーの座り位置とか、装備によって尻尾の揺れ方を変えたい!とか、やっぱり耳は揺らしたい!とか…
    大小様々な相談を開発終盤まで行っていました。
    ガルクに関わった全ての方々の熱い思いが集結して、
    ユーザーの皆様にかわいがっていただけるキャラクターになったのではと思います。
    Q4.オトモの先輩であるアイルーは獣人族ということで人と言葉を交わすことが出来ますが、ガルクを獣人族にしなかった理由はなぜでしょうか。
    A4.設定周りという事で、一瀬さんより回答頂きました。
    一瀬「獣人族にしないことでアイルーとの差別化を図りたかったというのがあります。牙獣種にしたことで、現在の搭乗して移動する遊びなどアイルーと違った個性をもたせることができました。」

    ▼こちらは一瀬さんからの貴重な初期企画案です!


    Q5.ゲームの中では野生のガルクは登場しませんが、彼らはどこで生活しているのでしょうか。
    A5.こちらもQ4同様に一瀬さんより回答頂きました。
    一瀬「ゲーム中に描いてはいませんが、カムラの里がある地方では野山に野生のガルクが生息しており昔から人と寄り添って生きてきた感じです。
    その名残として大社跡にガルクの石像がたくさんあるのがそういう理由です。」
    Q6.ちなみに阿部さんが狩りをするときはオトモアイルーとオトモガルクどちらを連れて行くのでしょうか。
    A6.もちろんガルクでドリフトしまくってます!
    …が、高難度クエストや百竜夜行ではオトモアイルーに命を繋いでもらっています…笑

    また、サンブレイクではライズでできなかった鉄蟲猟犬具が増えたのがすごく嬉しかったです!
    ▼武器を背負うの、ロマンです。


    しばたより一言:
    阿部さん、ありがとうございました!
    考案初期はモンスターのような見た目から、だんだん犬要素の割合が増えてきたのは面白いですね。小さい頃、大型犬に跨ってみたいという個人的な夢がライズで叶いとても嬉しい気持ちです。ライズから新たに加わったオトモということで、新たに登場するモンスターの装備はもちろん、これまでのシリーズで登場したモンスターの装備がどんなデザインになるのかもとても気になっていました。
    次回は少し趣向を変えてグッズ制作のお話し。カプコンが制作するフィギュア「CFB(カプコンフィギュアビルダー)」のモンスターの原型・彩色監修ついて、担当の野呂さんにお伺いさせて頂きます!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二十六弾は、カプコンが制作するフィギュア「CFB(カプコンフィギュアビルダー)」のモンスターの原型・彩色監修について、担当の野呂さんにお話をお伺いします!よろしくお願いします!

    第26回

    「CFB(カプコンフィギュアビルダー)」
    モンスター原型・彩色監修
    野呂さん

    ↑3Dスキャンによりデータ化された野呂さんの画像です。

    Q1.まずは野呂さんが担当された監修の概要について教えて頂けますか。
    A1.原型師の方がフィギュアを制作する上で必要な、モデルデータやゲーム内の画像等の制作資料を作成します。それを基に出来た原型からサイズ感を確認し、質感等詳細を制作していただき詰めていきます。その後の彩色につきましても、ゲーム内の印象と合っているか確認を行っておりました。
    原型師と彩色師の方々とは、何度も相談しながら進めておりました。



    Q2.監修に際してこだわった点や苦労した点などあれば教えてください。
    A2.生物感を出す為に色につきましては、特に拘っています。現在は、テクスチャの技術が向上しておりますので、複雑な色味を彩色師の方に言葉や文章で伝えることに苦労しました。
    また、フォルムにつきましては、宣伝用のモンスター画像の印象を大事にしておりました。
    しかし、画像ですと2Dでの見え方を重視したポージングになっている為、フィギュアとして360°で見た際、角度によって2Dで見えない部分で埋まり等の齟齬が生まれてしまいます。
    2Dと3Dとで適切な落としどころを見つけるのも苦労しました。

    Q3.フィギュアの監修を通じての新たな発見などはありましたか。
    A3.苦労した点で、言葉や文章で色味を伝えることを上げさせていただきましたが、最終的にどのように伝えることで、完成に至ったかと言いますと、彩色師の方や社内であってもモニターの色の見え方が異なりますので、プリントアウトし、その色味で彩色していただいておりました。
    アナログが一番伝わるという新たな発見でした(笑)
    また、原型師や彩色師の方々とお話しさせていただく中で、商品化までの制作工程や技法を聞くことが出来たことは、今後のフィギュア監修での良い経験となりました。





    Q4.これまで監修して印象的だったモンスターは何でしょうか。
    A4.MHFの開発にも携わっていましたので「エスピナス」が印象的でした。原型を最初に見た時は、とても感慨深かったです。
    また、サンブレイクのモンスターでは、今後発売を予定している「ガイアデルム」です。
    パッケージのサイズの関係もあり、ボリューム感を出す為に実際ゲームモデルのスケールを調整してもらい、モンスター画像やゲーム内でのガイアデルムの印象を表現出来たと思います。
    造形、彩色共に満足のいく仕上がりとなっています。



    Q5.ユーザーの皆さんに向けてのメッセージお願いします!
    A5.CFBは、原型師と彩色師の方々に無理なお願いを言い尽くし完成しておりますので、ゲームと一緒にフィギュアも楽しんでいただければと思います!
    しばたより一言:
    野呂さん、ありがとうございました!
    モデルデータや制作資料をお渡ししても、なかなか「色」については伝えるのが難しいのですね。プリントアウトして伝える、は意外でした(笑)
    監修を担当する開発者もかなり細部にまでこだわって作っていますので、是非お手に取って楽しんで頂ければと思います!せっかくなので商品の宣伝もさせてもらいます!
    今回のインタビュー内に登場したモンスターは、2023年9月26日発売予定の「カプコンフィギュアビルダー モンスターハンター スタンダードモデル Plus Vol.25」に収録されているラインナップです。
    動画も公開されているので、イーカプコンの商品ページで是非ご確認ください!
    https://www.e-capcom.com/shop/g/gC00007526/

    ライズ発売前から2年以上続いた本インタビュー企画ですが、次回が最終回となります。
    最終回はライズ、そしてサンブレイクの物語について、シナリオ担当の山下さんにお伺いさせて頂きます!
    つづく。
  • みなさんこんにちは!モンスターハンターライズ開発現場リポーターのしばたです。
    モンハンライズのインタビュー企画第二十七弾(最終回)は、ライズ・サンブレイクの物語について、シナリオ担当の山下さんにお話をお伺いします!よろしくお願いします!

    第27回

    『モンスターハンターライズ:サンブレイク』
    シナリオ担当
    山下さん
    Q1.まずはライズ・サンブレイクにおいて山下さんが担当されたお仕事について教えて下さい。
    A1.シナリオをはじめ、モンスター登場イベントでの文言やNPCたちとの会話、作詞やフレーバーテキストなど、文字から始まるお仕事につきまして全般を担当、もしくは監修しました。
    あとサンブレイクでは、Twitter上で短編小説の連載をやらせていただきました。
    Q2.ライズ・サンブレイクの物語における、それぞれのテーマや方針を教えて下さい。また、2つの作品に共通している要素などもあればそちらも教えて欲しいです。
    A2.ライズのテーマは「継承」です。
    百竜夜行という災禍に立ち向かうカムラの里の面々には、50年前の災禍で憂き目を見た里長フゲンたちの世代、そして今回それに立ち向かう主人公「猛き炎」たちの現役世代、そして次代を担うヨモギやイオリといった子どもたちがいます。
    炎の如く力強く生きて、己の魂を次の世代に託す。託された者もまた、その炎を受け継ぎ心を燃やして、生き様と魂を次の世代に繋ぐため生きていく…。そういった精神こそが、カムラの里の結束や強さの根幹でもあります。このテーマは、エンディング曲である「つなぐ花篝」の歌詞に集約されています。



    そしてこの「継承」というテーマは、イブシマキヒコとナルハタタヒメが巡り合い、子々孫々を残して天地の支配を目論むにも繋がりがあります。彼らもまた、血を継ぐ子孫を残して、繁栄するために動いていた。そのことが、結果として百竜夜行を引き起こしてしまった。
    どちらが明確に悪ということもありませんので、目線を変えれば非常にシビアな話ですが、モンスターハンターの物語の根っこは「人間とモンスターの生存競争」だと思っていますので、避けては通れない話だと思っています。



    一方、サンブレイクでは、作中でも何度か口にされていた「還るべき場所」というのがテーマであり、キーワードになります。
    カムラの里を救った主人公が「家族」たちに見送られ、次に向かう観測拠点エルガド。
    巻き起こる異変によって、王国という「還るべき場所」を失わないために、フィオレーネたちエルガドの面々は必死で踏ん張っている。
    彼らと出会い、「チーム」として共に困難を乗り越えていく中で、エルガドは主人公にとって「もうひとつの還るべき場所」となっていく―。
    そういったお話になるよう心がけていました。

    さらに、ライズと同様「還るべき場所」というワードは、モンスター目線でもテーマとなっています。

    王国の異変の元凶であり、人にもモンスターにも散々脅威を振りまいた噛生虫キュリア。
    しかしながら、キュリアたちからすれば、「自分たちの還るべき場所はどこなのか」「自分たちは、いつ還ることができるのか」という不安があったことでしょう。
    そんな不安をいだきながら彷徨い続けている、まるで母親を探す幼子のようなキュリア。彼らの生き方もまた、テーマを成す大きな要素でした。

    そして極めつけ、「原初を刻むメル・ゼナ」。この「還るべき場所」をテーマとするサンブレイクの物語を締めくくるモンスターです。
    キュリアを、自分の領の侵入者として排除するべく降り立った存在。この原初を刻むメル・ゼナに対して、王国を護るフィオレーネが下した決断は、まず、最大の脅威であるキュリアから「還るべき場所」―すなわち王国を護るためのものです。

    Q3.モンスターハンターシリーズの新作という事で特に意識したことはありますか。
    意識といいますか、最初にチャレンジしたことは、「すべてのキャラクターに名前を付ける」でした。
    ハンティングアクションとしてのモンスターハンターシリーズでは、従来、キャラクターは肩書きで呼ばれていました(一応、設定として名前はありましたが)。

    ですが、ライズが「百竜夜行という災禍に立ち向かう里の物語」となったときに、皆が手を取り合って、家族のようにして支え合っているのだろうな―と思いを巡らせました。
    そうなったときに、もう役職のみでは呼べないと考え、ディレクターと相談を重ねて役職+名前でいく形になりました。
    それと同時に、主人公を今までスタンダードだった「外から来たハンター」ではなく「災禍に襲われる里の出身」という設定にしました。理由は、各キャラクターに名前を付けたのと一緒です。里の皆は災禍を共に迎え撃ち、一心同体で支え合う家族ですので、そちらの方がよいと判断しました。

    また、「新作だから」というわけではありませんが、物語を書く上で意識したこととして、「光と影」を許される限りきちんと描くことようにしました。
    つまりは、主人公が危機を乗り越えて英雄となっていく中で、「失敗した者」だったり「脅威に打ち克てなかった者」「護られなかったもの」―そういったもののお話です。

    主人公は倒れれば終わりですから、最終的に必ず危機を乗り越え、人々を救って英雄として讃えられる存在となります。
    ですが、そういった「光」がある一方で、必ず「影」があったはず。それをきっちり描ければ、モンスターハンターの世界、つまり過酷な生存競争の世界の物語は深みを増すのではないかと…。あくまでこれは、個人の考えですが―(もちろんリアルに書きすぎれば、これまで培われてきたモンハンの世界観を壊してしまいますので、前述のとおり「許される限り」に留めましたが)。

    ライズで言えば、まず五十年前に里が壊滅寸前まで追い込まれたのは、マガイマガドの乱入というアクシデントがあったとはいえ、当時最前線に立っていた里長フゲンたちの作戦ミスも要因としては決して小さなものではありません。
    その他も、集会所にいる上位ハンター・アヤメのお話、ヨモギとカゲロウの故郷を襲った悲劇。そしてサンブレイクにおける、騎士道精神の最たる美徳は自己犠牲にある―という考えから脱却できないフィオレーネの失敗、提督ガレアスの故郷の滅亡など。
    いずれも、主人公が英雄の道を進んでいくまでに存在した「影」です。
    これらを描けたことは、物語の深化に繋がったと思っています。

    あと、今回の新たな要素としてはモンスター登場イベントですね。
    ライズでは琵琶奏者の方による語り、サンブレイクではフィオレーネによる語りで進行する、今までにない作りになりました。
    先にモンスターのコンセプトを元に演出が決まり、映像ができてから文言を作成していましたので、とにかく尺に合うように、コンセプトに合うように、さらに外連味も混ぜつつの言葉選びは、難航するときもありましたがやり甲斐がありました。
    ちなみに、最初につくったのはアケノシルムの登場イベントだったんですが、完成したときは、登場イベントのみならずライズで構築していくべき世界観そのものが見えました。本当に大きな一歩だったと思います。

    そして、「主人公に喋らせる」という要素。
    最初のPVで主人公が言葉を発したときに驚きの声が出たのをよく覚えています。
    デフォルトで20人。そして追加で20人以上。…とにかく言葉のバリエーションを絞り出すのに必死だったのを覚えています。
    とはいえ、里や拠点のキャラクターのボイスは物語では出せない一面も出せたりしますので、結構ノリノリで書いていましたね。特にウツシ教官、バハリ、ジェイあたりはキャラクターから逸脱しない範囲で伸び伸びと書かせてもらいました。
    ウツシ教官に関しては、考えられないくらい長尺のセリフをダメ元で出したりしたんですが、採用されましたね。

    最後に、歌。
    特にライズでは歌が重要な要素として存在しています。ちなみにゲーム中ではモンハン語が使われているものも、元は日本語で歌詞をつくっています。きちんと設定に沿った歌詞になっており、より深く世界観を知ることができるものになっていますので、是非ともサウンドトラックなどで聞いていただきたいと思います。
    思えば作詞をしたのは、かなり昔にシナリオを担当した「流星のロックマン3」というニンテンドーDSのゲームで、アイドルのヒロインがライブで歌うシーン以来でした。あの頃は容量の問題で歌声は出せず、曲に合わせてテキストを流すところ止まりでしたので、今回、自分の歌詞を著名なアーティストの方々に歌っていただけたというのは本当に感慨深い出来事でした。



    Q4.物語はゲーム制作のどの段階で決まるのでしょうか。
    A4.ゲームによって様々ですが、今回のライズとサンブレイクに関しましては、例えばライズは「和」「妖怪モチーフ」、サンブレイクは「洋」「西洋の怪物モチーフ」…といったような大枠の世界観やキャラクターの構想をディレクターからいただいて、各所と相談しながらザックリとした物語の流れを練り始めます。

    次に、例えばオトモガルク、百竜夜行、盟勇、キュリアといったような、ゲームの核を成す構想と共に登場するモンスターが決められて、このあたりから物語の骨組みをつくりはじめます。あらすじとかプロットというものになります。
    キャラクター設定を煮詰めて詳細に組み上げていくのもこのあたりですね。

    それで、「どのモンスターをどういう順番で登場させるか」「区切りとなる緊急クエストはどこでどのモンスターがやるか」というクエストリストができ始めた段階で、物語の進行表というものを作成します。
    プロットからもう一段階踏み込んで、「ここでこんな事件が起きて、このキャラが登場して助けてくれる」とか、「ここでこんな事件が起きて、襲い掛かってきたメインモンスターから逃げる」といったような話の流れを、クエストリストに合わせて組んでいくわけです。

    そうして進行表がある程度固まった段階でシナリオの作成に映ります。

    手順としては複雑ですが、ゲームのシナリオはゲームありきのもので、ゲームに合わせて柔軟に変えていくべき―というのが個人的な考えです。特にモンハンは、あくまで狩猟するゲームであって、その狩猟を盛り上げる要素のひとつが物語だと思っています。
    もちろん、「お話の都合上どうしてもここをこうして変えて欲しい」といった要望も出すこともありますが、割とレアなパターンですね。



    Q5.ライズ・サンブレイクでは過去のシリーズ作品に登場したモンスターも出てきますが、登場モンスターによって物語の内容が決まったり変化するのでしょうか。
    A5.Q4にある工程のとおりですので、むしろ登場するモンスターによって物語が決まる部分が多々あります。

    例えばサンブレイクでフィオレーネが倒れて途中離脱する流れがあります。
    フィオレーネが倒れて、その後にタドリがつくった薬で復帰するというのは決まっていますが、じゃあどうやって薬をつくるのか? というのは未定です。

    ですがクエストリストで、そのあと「エスピナス」が登場するので「じゃあフィオレーネの治療薬はエスピナスの素材でつくるというお話にしよう」「エスピナスは毒の要素が強いから、毒をもって毒を制す…みたいなお話しでいこう」みたいな感じですね。
    Q6.今年の4月のアップデート(ver. 15.0)にてカムラの里に脅威が迫る展開がありましたが、ライズの時点からアマツマガツチの登場、ヨモギやカゲロウの故郷の物語を描くことを検討していたのでしょうか。
    A6.ちょっとややこしいんですが、ライズのキャラクター設定を固めていたときに、最初は「茶屋の元気な看板娘」のみだったヨモギに「何かもうひとつ欲しい」となったんですね。
    で、「カムラの里の出身ではない」という設定が加わり、「じゃあどこの出身?」と。
    それで、カムラの里と同じ文化圏の「都」があって、そこはすでに滅亡している。ヨモギは、その都の姫だった―ということになりました。
    同時に、「過去は謎に包まれている」というカゲロウの設定で、当時は本当に謎のみだったカゲロウの過去を、「ヨモギを都から救い出して里まで連れてきた家臣」としました。

    ただ、この段階では、ゲーム内で二人の物語を描くことは決定しておらず、また、古龍がアマツマガツチであるところまで確定していませんでした。
    だからといって「サブ設定的なものだから」とここで深掘りをやめてしまっては、話しかけたときの雑談などで過去を匂わせる発言をした際に、どこかで齟齬が生じるなどの事故に繋がります。
    こういうサブ的なネタだからこそ、キッチリ細部までつくっておく。そうすれば、事故を防ぐと同時に、キャラクターの輪郭がハッキリとして、魅力を最大限まで深めることができます。
    そういった経緯で、ヨモギとカゲロウの過去については詳細につくり込んでおいた―という感じです。

    結果、サンブレイクになってヨモギとカゲロウのエピソードをお届けできたのは、長くライズ・サンブレイクを愛して、プレイしていただいたユーザーの皆さまの後押しもあったおかげです。感謝しかありません。
    Q7.最後にユーザーの皆さんに向けてのメッセージお願いします!
    A7.モンスターハンターライズ、モンスターハンターライズ:サンブレイクの物語、お楽しみいただけましたでしょうか。
    制作のゴールテープを切るまでの最たるモチベーションは、紛れもなく、皆さんが様々なかたちで発信してくださった、キャラクターやストーリーに対する愛でした。Twitterで小説をつくったのも、そういった皆さんに、何かもっと楽しんでいただきたい、モチベーションをいただいたお礼を差し上げたい、という思いからです。
    本当にありがとうございました。

    「猛き炎」の物語は幕引きとなりますが、ハンターの道に終わりはありません。
    新たな物語の幕が切って落とされるまで、引き続きカムラの里や観測拠点エルガドへ遊びに来てくださると嬉しいです。
    気焔万丈!
    しばたより一言:
    山下さん、ありがとうございました!
    ライズ・サンブレイクという二作の物語をお話し頂いたという事もあり、非常に読み応えのある内容になりましたね!ライズでの新たなチャレンジとして(Q3)、キャラクターに名前が付いたことが挙げられていましたが、私もライズに関わった時から非常に印象に残っており、肩書と名前の関係性や、名前の由来はなんだろうとゲームをプレイしながら考察して楽しませてもらいました。個性豊かなキャラクター達に愛着がわいた人も多いのでは?

    ライズ発売前から2年以上続いた本インタビュー企画ですが、今回をもちまして終了となります。
    開発現場の人達の考えている事や制作の裏側など、一つのゲーム作品をより色んな角度から楽しんで頂ければという思いで記事を書いて参りましたが、お楽しみ頂けたでしょうか。一つの記事、回答でも興味や関心を持って頂ける記事がありましたら幸いです。

    これからもモンスターハンターライズ、サンブレイクそしてモンスターハンターシリーズをよろしくお願い致します!
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